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 第65巻1号(2012年7月号) 特集/Stem Cell, iPS研究;再生医療, 癌診療への展開
定価(\)本体 2,800+税 送料(\) 150


編集後記

 最近の医学のトピックスとしては間違いなく幹細胞に関する研究があげられる.本誌としても,この領域の第一線で活躍されている先生方に執筆いただいて最先端の情報を掲載したいと考えた次第である.

 その研究目的は研究者によりさまざまであろう.ライフサイエンスの立場からみれば細胞の分化機序,組織形成機構の解明ということであろうか.一方,臨床の立場からは組織修復,再生医療へ繋げたいという思いであろう.そしてこれらが種々の色合いで融合し研究が展開しているように思う.古典的な発生学がいかような方法論で研究が行われていたか,小生には不案内であるが,最近の発生学では分子生物学的手法により,時空間的にどのような遺伝子,サイトカインが働くかということがかなり明らかにされ,それをin vitroで再現することが大きな研究の流れのように感じる.これが再生医療の端緒となったように思う.

 その後,ES細胞が再生医療の中心になるかと思われたが,倫理面を含めた種々のハードルゆえに立ち留まっていたさなかにiPS細胞が出現した.最終分化した体細胞が未分化で多能性を有する細胞に逆戻りするという常識では考えがたい現象がわずか4つの遺伝子で生じるという事実は衝撃的であった.しかも,この細胞がわが国で,わが国の研究者により行われたということも国家的朗報でもあった.現在,本細胞による再生医療の構築に向かって各国が凌ぎを削っているところであり,わが国の戦略が奏功することを期待したい.また,私自身,最も興味があり,研究も行っているテーマとして癌幹細胞があり,これについても今後の癌治療,特に化学療法のブレークスルーにつながる研究として取りあげた.癌細胞集団の中のわずかなpopulationの癌幹細胞の存在が化学療法の限界の大きな理由であると考えられている.癌幹細胞の抗癌剤耐性機構の解明に大きな期待がかかる所以である.

 本特集が読者の方々の知識の整理や研究の発展に多少なりともお役にたてれば企画者としては望外の喜びである.

                  (有井 滋樹)


 

目次

〔巻頭言〕再生医学と癌研究

   大阪大学 森   正 樹… 5

総論

 肝臓領域における幹細胞研究の動向

横浜市立大学 谷 口 英 樹… 7

 人工多能性幹(iPS)細胞 京都大学 青 井 貴 之… 13



 モデル生物を用いた肝発生および肝サイズ制御機構の解明

   東京医科歯科大学 宮村 憲央,他… 21

 発生過程・成体における肝幹・前駆細胞の

  分化誘導の分子メカニズム 東海大学 紙 谷 聡 英… 29

 肝再生における幹細胞の機能 札幌医科大学 三高 俊広,他… 37

 肝幹細胞を用いた細胞移植治療 東京医科歯科大学 幾世橋 佳,他… 47

 肝細胞癌における癌幹細胞の同定 千葉大学 千葉 哲博,他… 55

 肝癌幹細胞の生物学的特徴と

  幹細胞標的新規治療法開発の可能性 金沢大学 酒井 佳夫,他… 63



 胆管の発生と制御機構 札幌医科大学 谷水 直樹,他… 73

 胆管の組織幹細胞と分化制御 筑波大学 須 磨 崎   亮… 83

 胆道癌幹細胞の同定と臨床的意義

  −胆管周囲付属腺のインパクト− 金沢大学 中沼 安二,他… 95



 膵の発生と制御 京都大学 川 口 義 弥…107

 膵の組織幹細胞と分化制御 大阪大学 宮崎 早月,他…121

 膵癌幹細胞の解析と治療応用 東京医科歯科大学 田中 真二,他…129

iPS関連

 iPS細胞から肝細胞への分化制御 東京大学 大塚 基之,他…139

 ヒト生体内に存在する多能性幹細胞

  Muse細胞と肝再生への可能性 東北大学 出 澤 真 理…145

 ヒト肝癌細胞のiPS化と制御機構 東京大学 森口 尚史,他…157

 iPS細胞から膵細胞への分化制御

中内幹細胞制御プロジェクト 小林 俊寛,他…165



座談会“Stem Cell, iPS研究;再生医療, 癌診療への展開”

有井滋樹/柿沼 晴/上野義之/川口義弥…173



症例報告

 歯周病に起因したと考えられるStreptococcus.constellatusによる肝膿瘍の1症例

   半田市立半田病院 浅野 周一,他…189  

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