今後の特集のご案内

「肝胆膵」(75巻6号・2017年12月号)
特集/胆管内腔発育型腫瘍の概念と実態

「肝胆膵」(76巻1号・2018年1月号)
特集/肝胆膵とアルコール −serendipityを目指して−

バックナンバーはこちら



 第64巻5号(2012年5月号) 特集/肝胆膵悪性腫瘍に対する分子標的療法の近未来的展望
定価(\)本体 2,800+税 送料(\) 150


編集後記

 わが国では肝がんの分子標的薬のソラフェニブが2008年4月に発売されてから4年が経つ.このソラフェニブは切除不能,局所療法不能,TACE不能など治療困難な症例を対象に臨床研究が行われ,その平均生存率が7.9カ月から10.7カ月に延長したことが2008年New England J Medicineに発表され,一躍国際的に評価されるようになった.

 その後,多くの分子標的薬の開発が雨後の筍のようになされるようになり,事実,わが国でも数多くの肝がんに対する臨床研究(治験)が実施され,その臨床効果に期待が持たれていた.しかしながら,現実的にはなかなかソラフェニブを凌駕する分子標的薬が臨床の場に出現することなく,さらに今後3年余り新規薬剤の保険収載も難しいことが判明してきた.

 ソラフェニブの臨床治験の場合は無治療群との比較であったが,その後の新しい分子標的薬はソラフェニブを対象群とするためにソラフェニブ不応例に効果を示すか,ソラフェニブを凌駕する生存率を得る結果でないと新規に認められないこととなる.したがって,今日までの臨床研究では満足のいく臨床結果が得られていないこととなり,新規薬剤が続いてでてこない理由がここにあるわけである.

 しかしながら,まだまだ諦めるわけにはいかない.今回の特集では1つ1つの新規分子標的薬の特徴をあますことなく詳細に解説して頂いた.そして企画の骨子は「現実に臨床試験が成されている現行の薬剤から近未来的な薬剤まで,具体的にそれら薬剤がどのような機序で悪性腫瘍に対し効果を示し,開発段階の薬剤でもどこまで臨床効果が認められるのか臨床家のもっとも知りたいところである.そのために現行薬剤,開発段階の薬剤を詳細に解説し肝胆膵悪性腫瘍に対する分子標的薬の現状と近未来的展望をまとめる」こととした.

 座談会では今後の分子標的薬の今後の展開に関して自由にエキスパートに話をして頂いた.今の時点での肝癌に対する分子標的治療薬の状況を知ってもらうには極めて有意義な特集であったと自負している.

 執筆頂いたエキスパートに感謝するとともに,臨床医にとって本特集が今後の肝がん治療の参考になれば幸いである.

                 (市田 隆文)


 

目次

〔巻頭言〕癌治療の新たな展開

   浜松労災病院 有 井 滋 樹…643

肝細胞癌

 Sorafenib 金沢大学 山下 竜也,他…645

 Sunitinib, Axitinib 杏雲堂病院 小尾俊太郎,他…657

 Brivanib 近畿大学 上嶋 一臣,他…669

 TSU-68(Orantinib) 千葉大学 金井 文彦,他…677

 Everolimus 国立がん研究センター東病院 池 田 公 史…687

 Ramucirumab 近畿大学 上嶋 一臣,他…697

胆道系,膵臓系腫瘍

 Cetuximab 静岡がんセンター 谷口 浩也,他…701

 Erlotinib 大阪府立成人病センター 井 岡 達 也…711

 Everolimus 九州大学 五十嵐久人,他…719

今後の展開

 肝胆膵悪性腫瘍に対する分子標的薬治療の展望

   埼玉医科大学 嶋田  顕,他…727



座談会“肝胆膵悪性腫瘍に対する分子標的療法の近未来的展望”

市田隆文/奥坂拓志/金井文彦/古瀬純司…735  

バックナンバーはこちら