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特集/臓器間ネットワークからみた肝胆膵の恒常性とその破綻

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 第61巻6号(2010年12月号特大号) 特集/肝胆膵薬物治療学の進歩―この30年―
定価(\)本体 6,600+税 送料(\) 200


編集後記

 今号の企画は年1回の特大号でそのタイトルもズバリ「特集/肝胆膵薬物治療学の進歩-この30年‐」である.30年も昔となると,当時隆盛を誇った薬剤も現在では全く名前も知らないなどということも起こりうる.ちなみに30年前の時代というと,サッカーではあのマラドーナがアルゼンチン国内で頭角を現してきた頃である.(彼は82年にFCバルセロナに移籍するが,その後で肝炎に罹患したことを覚えている先生は少ないだろう)この30年の間に,肝胆膵の診療の現場は大きく変わっている.その当時,日本で将来年間3万5千人以上が肝疾患,とりわけ肝臓がんで死亡することになるなどという予測はされていなかっただろうし,そもそもC型肝炎自体がまだ全くの藪の中であった.しかし,学問というものは,画期的であり,また残酷なものでもある.新たな発見は,古い経験を容赦なく再評価の渦に巻き込むことになり,また薬の評価の仕方もより科学的(むしろグローバルなといったほうが適当かも)な基準でなされるようになった.例えば,ウイルス性肝疾患で用いられる薬剤は,その本質であるウイルスに直接作用する薬にシフトしていき,より治療というものの精度が改善している.今回項目立てに漏れた薬剤も数多くあるかもしれないが,現在用いられていない薬剤の場合は却ってその記載が不正確になる可能性もあり,その薬剤に思いがある先生方にはご容赦頂くしかない.薬剤の進歩は,その使用の際の検査法の進歩などとも表裏一体である.現在のウイルス検出法の改善は過去では見えない微量のウイルス血症を判定できるようになっている.今後も抗ウイルス薬や抗腫瘍薬は新規の薬剤が出てくることだろう.ことに後者は,分子標的薬や抗体療法に用いられる新薬の開発が目白押しの状況にある.しかし,これらの新薬はとてつもなく高価なものが多く,今後これらの薬剤の使用が医療費全体に同影響するかは当然避けては通れない課題ではある.30年前にここまでの医療状況の環境変化は予測できていなかったし,多分われわれが次の30年後を正確に予言することも不可能だろう.そもそも日本の医療制度は30年後にどうなっているのだろうか?ただしわれわれにできることは,自分の知識・経験・信念・良心のすべてを動員して診療に当たることであり,それは今後も変わらないと信じたい.

 今回の特大号は,編集委員の先生方すべてが企画立案の段階から時間をかけて関与したもので文字通り総力戦であった.編集後記は,最も暇である小生が担当することになったが,末筆乍ら多くの原稿を快く執筆頂いた数多くの先生方に,編集部をあげて感謝したい.(上野 義之)


 

目次

〔巻頭言〕肝胆膵薬物治療学の進歩―この30年―

   山梨県立病院機構 小 俣 政 男… 909

肝臓分野

 T.インターフェロン製剤

  1.インターフェロンα

   慢性肝疾患に対するスミフェロン使用の変遷

     京都府立医科大学 伊藤 義人,他… 911

   B型・C型慢性肝炎に対するOIFの有用性

     福岡大学 釈迦堂 敏,他… 917

   コンセンサスインターフェロン

     順天堂大学 鈴木 聡子,他… 923

  2.インターフェロンβ

   天然型IFN-β(フェロン)の特徴とあゆみ

     虎の門病院 荒 瀬 康 司… 928

  3.ペグインターフェロン

   ペグイントロン / レベトール

     大阪大学 竹 原 徹 郎… 934

   ペガシス,コペガス

     国立病院機構長崎医療センター 八 橋   弘… 941

  4.インターフェロン製剤(開発中)

   albinterferon α-2b(Alb-IFN)の開発

     大阪府済生会吹田病院 岡上  武,他… 950

   新しいインターフェロン製剤:PEGインターフェロンλを中心に

     東京医科歯科大学 坂 本 直 哉… 955

 U.C型肝炎治療薬

  Telaprevir (VX-950, MP-424)

     虎の門病院 芥田 憲夫,他… 959

  BMS-790052 山梨大学 前川 伸哉,他… 967

  DFPP(二重膜濾過法)併用IFN治療の開発と成績

     金沢大学附属病院 山下 竜也,他… 974

 V.B型肝炎治療薬

  ラミブジン(ゼフィックス)開発の歴史と意義

     信州大学 田中 榮司,他… 981

  アデホビル(ヘプセラ)の抗ウイルス効果

     広島大学 光井富貴子,他… 989

  エンテカビル(バラクルード)

     千葉大学 亀崎 秀宏,他… 997

 W.肝機能改善薬

  ウルソ 山梨県立病院機構 小 俣 政 男…1005

  小柴胡湯 香川大学 三好 久昭,他…1010

  強力ネオミノファーゲンシー・グリチロン

    国立国際医療研究センター 村田 一素,他…1016

 X.肝不全治療薬

  1.グルタミン酸アルギニン

   アルギメート 岩手医科大学 鈴木 一幸,他…1024

  2.分岐鎖アミノ酸製剤

   肝硬変脳症における分岐鎖アミノ酸輸液(アミノレバン)の位置付け

     岐阜大学 森脇 久隆,他…1031

   モリヘパミンにおける肝性脳症改善機序の特徴

     山口大学 瀬川  誠,他…1038

   分岐鎖アミノ酸製剤:ヘパンED

     山形大学 斎藤 貴史,他…1046

   リーバクト 久留米大学 川口  巧,他…1051

  3.ラクツロース製剤

   モニラック 愛知医科大学 佐藤  顕,他…1060

   ラクツロース製剤

     国立病院機構東京病院 矢 倉 道 泰…1065

   ポルトラック原末 鹿児島大学 宇都 浩文,他…1071

 Y.ワクチン

  1.B型肝炎ワクチン

   ビームゲン 東京医科大学 中 村 郁 夫…1078

   ヘプタバックス−U 東京女子医科大学 徳 重 克 年…1083

   沈降B型肝炎ワクチン 名古屋大学 石 川 哲 也…1088

  2.A型肝炎ワクチン

   乾燥A型肝炎ワクチン 千葉大学 神田 達郎,他…1095

 Z.NASH・AIH・PBC

  アクトス 高知大学 西 原 利 治…1100

  ベザフィブラート 順天堂大学 池 嶋 健 一…1107

  EPL 東京女子医科大学 谷合麻紀子,他…1112

  アザチオプリン 福島県立医科大学 大平 弘正,他…1115

 [.肝癌治療薬

  ドキソルビシン(アドリアマイシン),エピルビシン(ファルモルビシン)

    新潟大学 須田 剛士,他…1120

  低用量CDDP/5-FU 肝動注化学療法

    熊本大学 福林光太郎,他…1125

  肝細胞癌に対するアイエーコールの有効性と臨床的意義

    順天堂大学医学部附属静岡病院 市田 隆文,他…1133

  インターフェロンα併用5FU化学療法

    財団法人佐々木研究所附属杏雲堂病院 小 尾 俊太郎…1144

  ネクサバール 近畿大学 工 藤 正 俊…1155

  ミリプラチン 虎の門病院 池 田 健 次…1166

 \.肝移植

  ネオーラル 徳島大学 宇都宮 徹,他…1170

  免疫抑制剤:プログラフ 東京大学 金子 順一,他…1177

  肝移植の免疫抑制療法におけるセルセプトの役割

    広島大学 大 段 秀 樹…1182

  リツキシマブ(リツキサン) 長崎大学 曽山 明彦,他…1188

 ].漢方薬

  芍薬甘草湯 札幌医科大学 永島 裕之,他…1194

  茵陳蒿湯 東京大学 池 田   均…1198

胆膵分野

 T.COMT阻害剤

  コスパノン/フロプロピオン製剤

    東京慈恵会医科大学 西野 博一,他…1202

 U.蛋白分解酵素阻害薬

  FOYの30年の歴史と臨床成績

    京都府立医科大学 阪上 順一,他…1208

  タンパク分解酵素阻害剤メシル酸カモスタット=フォイパン

    財団法人厚生年金事業振興団大阪厚生年金病院 伊 藤 敏 文…1215

  急性膵炎治療薬としてのNafamostat mesilate(フサン)

    国立病院機構仙台医療センター 武 田 和 憲…1224

  ミラクリッド 東京大学 笹平 直樹,他…1230

 V.慢性膵炎の疼痛緩和薬

  レペタン みよし市民病院 成 瀬   達…1235

  ペンタゾシン 弘前大学 柳町  幸,他…1240

 W.自己免疫性膵炎治療薬

  自己免疫性膵炎におけるステロイド製剤の使い方

    東京大学 平野 賢二,他…1246

 X.化膿性胆管炎に対する抗菌療法

  化膿性胆管炎に対する抗菌療法

    帝京大学 田 中   篤…1252

 Y.重症急性膵炎に対する抗菌療法

  重症急性膵炎に対する抗菌療法

    東京大学 多 田   稔…1258

 Z.重症急性膵炎に対する経腸栄養剤

  重症急性膵炎に対する経腸栄養剤

    近畿大学 竹 山 宜 典…1261

 [.経口胆石溶解剤

  ケノコールおよびウルソ 広島大学 菅野 啓司,他…1269

 \.膵・胆道癌抗がん剤

  1.膵・胆道癌の抗がん剤

   ジェムザールにおける臨床と今後の展望

     国立病院機構九州がんセンター 船 越 顕 博…1274

   TS-1 千葉県がんセンター 須藤研太郎,他…1285

  2.膵・胆道癌の抗がん剤(現在未承認中)

   タルセバにおける開発の状況とその効果予測因子

     国立がん研究センター東病院 仲地 耕平,他…1290

   シスプラチンにおける臨床試験とその有用性

     杏林大学 古瀬 純司,他…1296

   サンドスタチン 大津赤十字病院 土 井 隆一郎…1304

  3.貼付麻薬薬(フェンタニル)

   デュロテップ

     神奈川県立がんセンター 大 川 伸 一…1310

   フェンタニルクエン酸塩貼付剤

     JR東京総合病院 花岡 一雄,他…1316

  4.経口モルヒネ製剤

   膵がんにおける疼痛対策:オピオイド経口剤の使い方と副作用対策

     四国がんセンター 井 口 東 郎…1324

  5.5-HT3受容体拮抗薬

   5-HT3受容体拮抗薬,ステロイド,NK-1受容体拮抗薬

     三井記念病院 戸 田 信 夫…1330

座談会

   “肝臓分野に関する薬物治療学の進歩”

市田隆文/山田剛太郎/上野義之/小俣政男/坂本直哉/岡上 武(誌上)………1336



   “胆膵分野に関する薬物治療学の進歩”

小泉 勝/多田 稔/大槻 眞/中沼安二/宮崎 勝………1357  

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