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 第58巻3号(2009年3月号) 特集/肝胆膵悪性腫瘍に対する分子標的治療の現況と展望
定価(\)本体 2,800+税 送料(\) 150


編集後記

 私は外科医であり,悪性病巣を切除することが最も根治性の高い,しかも切れ味の良い治療法であると考える医師である.一方,外科治療の限界に悪戦苦闘している毎日でもある.私たちは外科治療成績を向上させることがなにより大切な使命であるが,それには手術の安全性と根治性を高める努力とともに,手術を補完する方法を探究することも必要と考える.学生と話をして「薬物治療が進歩すると外科はすたれるのではないですか?」と問われたことがある.その時の私の答えは「外科医こそよい薬が欲しい」.それは根治手術後の再発に悩まされ続けていること,そしてたとえば肝転移があれば─それが小さな病巣でも─切除可能な膵癌も手術適応からはずさざるを得ないという現実から出た言葉である.よい抗癌剤があれば術後の再発も抑制され切除しがいが一層高まるというものである.また小さな肝転移ぐらいなら薬で制御できるとなれば手術の適応も拡大される.つまり,学生の考えとは反対になる.しかし,抗癌剤が効くようになってきたといってもやってみないと効果のほどはわからない.すなわち化学療法は「医療は不確実である」という典型的な例である.

 以上は1外科医の独り言であるが,このような観点から外科医でありながら分子標的薬に興味を持ち,その進歩に期待を抱き,本特集を企画させていただいた.直面している高齢化社会は癌患者がさらに増加することを意味し,癌に対する薬剤開発は一層激しくなるであろう.そしてDNA合成阻害剤のような従来型にかわって,本特集で示された分子標的薬の開発が当面の戦略となるのであろう.まだ肝胆膵領域では分子標的薬は萌芽の段階であるが,この流れは近い将来には奔琉となるであろう.本特集が読者諸兄姉の本領域の研究と臨床に多少なりとも貢献できれば幸いである.    (有井 滋樹)


 

目次

目次



〔巻頭言〕分子標的薬:はるかなる未来 東京大学 小 俣 政 男…293

肝臓癌

 肝癌に対する分子標的薬の現況 東京医科歯科大学 田中 真二,他…295

 血管新生阻害剤の新しい展開「肝癌」 奈良県立医科大学 吉治 仁志,他…307

 ソラフェニブの臨床使用経験と今後の展望 近畿大学 工 藤 正 俊…317

 肝細胞癌に対する血管新生阻害剤の開発動向と将来の展望

   千葉大学 金井 文彦,他…335

膵臓癌

 分子標的薬の現状と展望―EGFRを標的として 杏林大学 古 瀬 純 司…345

 分子標的薬の現状と展望―VEGFRを標的として(アキシチニブなど)

   愛知県がんセンター中央病院 澤木  明,他…353

胆道癌

 分子標的薬開発の現状と展望 国立がんセンター中央病院 森実 千種,他…361

前臨床研究

 肝胆膵悪性腫瘍に対するIGF-1受容体を分子標的とした試み

   札幌しらかば台病院 足立  靖,他…369

 レチノイド核内受容体RXRαを分子標的とした試み 岐阜大学 清水 雅仁,他…379

 mTOR阻害剤を用いた悪性腫瘍に対する治療戦略 京都大学 木田 睦士,他…389

 siRNA医薬による肝癌の分子標的治療

   株式会社ジーンケア研究所 古 市 泰 宏…395



座談会“肝臓癌に対する分子標的治療の現況と展望”



有井滋樹/沖田 極/金井文彦/矢野博久 ………………………………403

 

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