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 第56巻5号(2008年5月号) 特集/核酸アナログ時代のB型肝炎治療
定価(\)本体 2,800+税 送料(\) 150


編集後記

 本年より,編集協力者として「肝胆膵」の編集の大役を仰せつかった.肝胆膵は,小生が大学に入局した時から「黄色いすごい雑誌(昔オレンジ色のすごいやつという夕刊紙のCMがあった)」として,医局の図書室からいつも誰かが持ち出してしまい,常に合冊の際に欠巻が多い雑誌である.その雑誌の編集協力者としての参加は,とても光栄であり,自分の能力以上の場のようでもあるが,人一倍好奇心が強い人間として「読者の皆様が読みたいと思う記事を組む」という一点で努力していきたいと思う.その編集協力者としての企画の第一号が今回の特集「核酸アナログ時代のB型肝炎治療」である.内容は,岡上先生の巻頭言にある通りで,わが国の第一級の研究者の先生方にお忙しい中ご執筆をいただいた.現在のB型肝炎の治療について,わが国のみならず海外の現状を踏まえた特集となっていて,また次のB型肝炎の特集が組まれるまでの時代の流れに十分耐えるものとなっていると思う.(また次のオリンピックの年に組まれるのであろうか?)

 地球規模でみればB型肝炎は圧倒的にアジア,特に東アジアの感染症である.近年の中国からの大規模試験や,予後調査などはその圧倒的に多くの感染者数(N)で勝負しているが,わが国のデータはこれまでの多くの先輩たちが築き上げてきたデータのcreditがある.このデータの信頼性と質の高さがわが国での研究の大きなadvantageであることは,今回の特集を見ても伺うことができる.

 それにしても,HBV感染症の本質は大昔も今も変わらないはずであるが,それを洞察する方法の進歩は目を見張るものがある.これまで測れなかった,見えなかったウイルス量が日常臨床で検査可能となり,大昔HBV-DNAポリメラーゼで判断していた時代は何だったのかとさえ思ってしまう.常識は世界規模でも変わっており,最近提唱された治療のエンドポイントにはHBV-DNAのPCR法での検出感度以下の持続などという,非常に敷居が高いものすらある.ただし,このようにPCR法で検出感度以下にしたことが長期的に見て肝疾患での死亡,とりわけ肝細胞癌のリスクを本当に下げるかについては,大きなongoingな実験といえる.あたかも何処かの国でのメタボリックシンドロームの斬新な基準の提唱と,そのコントロールを社会実験しているのと類似しているが,疾患コントロールについての概念の大きな節目の歴史的な証人にわれわれはなっているのかもしれない.これを光栄なことと受け止められるように前向きに精進していきたいものである.

   (上野 義之)


 

目次

〔巻頭言〕核酸アナログ時代のB型肝炎治療

      大阪府済生会吹田病院 岡 上   武…653

核酸アナログ時代からみるHBV 

 B型肝炎ウイルスの特徴 北里大学北里生命科学研究所 小 池 克 郎…657

 HBV感染症のnatural history up to date 名古屋市立大学 菅内 文中,他…665

核酸アナログ剤各論

 ラミブジン 信州大学 松本 晶博,他…671

 アデフォビル 虎の門病院肝臓センター 鈴 木 文 孝…681

 エンテカビル 千葉大学 丸岡 大介,他…687

 これからの核酸アナログ 東京大学 加 藤 直 也…697

核酸アナログをどう使う?

 治療の対象とエンドポイントの設定 武蔵野赤十字病院 田中 智大,他…701

 核酸アナログ時代のIFN治療の適応

   国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター 長岡 進矢,他…709

 劇症肝炎における核酸アナログ 埼玉医科大学 持 田   智…717

 肝移植時の核酸アナログ療法 京都大学 上田 佳秀,他…725

 肝癌治療における核酸アナログ 金沢大学医学部附属病院 荒井 邦明,他…733

 耐性ウイルスに対して 久留米大学 緒方  啓,他…741

 HIVとの重感染に対して 東京大学 四柳  宏,他…749

さらなる方向へ

 動物モデルを用いた展開

  キメラマウス 名古屋市立大学 田中 靖人,他…753

  ヒト肝細胞キメラマウスを用いた薬剤耐性の評価と今後の応用

    広島大学 柘植 雅貴,他…761

 B型肝炎に対する免疫療法 愛媛大学 阿部 雅則,他…771



座談会“核酸アナログ時代のB型肝炎治療”

岡上  武/横須賀 收/黒崎 雅之/上野 義之



 

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