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特集/ニュートリゲノミクスから斬る肝胆膵疾患

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最新号 
 74巻5号(2017年5月号) 特集/混合型肝癌をめぐる混乱の終焉を目指して
定価(\)本体 3,100+税 送料(\) 150


編集後記

 最近,「new aspects of old diseases」が議論されることが増えている.分子生物学的研究手法の発展,治療法の進歩などにより,古くから知られている疾患が新しい側面から研究され,疾患の理解が深まっているわけである.「混合型肝癌」はまさにold diseaseで,肝細胞癌と胆管癌が共存する腫瘍と古くから定義されてきた.この腫瘍も,病理学的研究,幹細胞研究,遺伝子学的研究により,新しい側面からとらえようと試みられたが,皮肉なことにそれが結果として混乱を招くこととなった.混乱の原因の一つは2010年に出版されたWHO分類だろう.混合型肝癌の定義が改訂され細分類が提唱されたが,基礎データなく提唱されたこの試みは広く受け入れられなかった.
 「この混乱を収めることができるのか?」その疑問からスタートした本特集号であるが,問題点は明確になったと思われる.本特集号をみると,混合型肝癌の亜分類の必要性,細胆管癌の取り扱い,肝細胞癌との線引きなどに関して,ほぼ回答が得られようとしていることが分かる.興味深いのは,元となるデータの多くは日本から報告されていることである.本邦の研究者が現在の分類の検証作業を行い,問題点を明確にし,またそれに対する対応策を模索してきた結果と考えられる.今後は,国際コンセンサスの構築が求められるが,本邦の研究者が多く参加され,今後長く使用できる基準が作成されることを期待したい.
 また,混合型肝癌は肝細胞癌とも胆管癌とも異なるため,治験対象に含めにくい腫瘍であったが,今後数年で,肝細胞癌や胆管癌に対する臨床研究の結果が出てくると予想され,その中から混合型肝癌にも有効な治療薬が見つかることも期待される.本特集号が,混乱の終焉だけでなく,「future perspectives of the old disease」を考える機会になれば幸いである.
(全  陽)


 

目次

〔巻頭言〕混合型肝癌の行方 福井県済生会病院 中 沼 安 二…665
座談会 “混合型肝癌はどこへいくのか”……………………………………………669
総論
 WHO分類2010の定義とその問題点 慶應義塾大学 尾島 英知,他…683
 肝再生機転と混合型肝癌の接点 横浜市立大学 村田聡一郎,他…689
病理
 混合型肝癌の病理学的多様性−その理解のために− 帝京大学 近藤 福雄,他…695
 混合型肝癌の病理診断−Consensus and Discrepancy− 久留米大学 中島  収,他…707
 細胆管細胞癌再考−コンセプト癌− 医療法人徳洲会湘南藤沢徳洲会病院 中野 雅行,他…717
 細胆管様成分を伴う肝細胞癌の特徴 杏林大学 柴原 純二,他…725
分子病理学的特徴
 混合型肝癌を含む胆管上皮分化を示す肝臓癌の遺伝子学的特徴 理化学研究所統合生命医科学研究センター 中 川 英 刀…731
 混合型肝癌の遺伝子異常と臨床病理学的特徴 金沢大学 佐々木 素 子…737
 混合型肝癌の発症におけるHippoシグナルの関与−ノックアウトマウスから得られた新知見− 九州大学 杉町 圭史,他…745
 虚血による肝細胞から胆管細胞への形質転換−TACE後腫瘍の解析から− 神戸大学 全   陽,他…753
診断
 混合型肝癌〔ICD-0 code 8180/3(WHO 2010)〕の画像診断 がん研究会有明病院 上田 和彦,他…761
 WHO亜分類別にみた臨床的特徴と画像所見の違い 虎の門病院 斎藤  聡,他…769
治療・予後
 混合型肝癌の外科治療成績−細胆管細胞癌,肝内胆管癌との比較− 東京女子医科大学 有泉 俊一,他…779
 混合型肝癌に対する化学療法の現状と展望 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター 小 林   智…789
 TACE後肝細胞癌の胆管癌,混合型肝癌への分化 福井県済生会病院 宮山 士朗,他…795
 肝細胞癌の診断で肝移植された混合型肝癌の特徴 九州大学 吉住 朋晴,他…803
特別座談会 “肝癌ゲノム解析のインパクト−肝癌の臨床は今後どう変わるか?−”……………811
シリーズ 肝臓の病理形態の理解と診断へのアプローチ㉙
 肝細胞の不規則再生 福井県済生会病院 中 沼 安 二…491
 

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