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     7月号 高齢化時代を迎えた肝臓病−高齢化の実態と対策−
 

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最新号
 第52巻4号(2006年4月号) 特集/Innate immunityと肝病態

定価(\) 2,898 送料(\) 150

編集後記

 僕にとって,免疫学ほどわかったようで,わからない領域はない.食わず嫌いかも知れないが,基礎から学んでもすっきりこないことが多い.ところが,最近の免疫学関連の研究,発表はそのインパクトファクターは高く,またすべての病態に免疫機構の関与が示唆されることを理解し出してから,否応なしに関心を払わざるを得なくなってきた.
 さて,肝疾患と自然免疫の特集を組ませて頂いた.自然免疫が時代の流れであることは,改めて申すまでもない.恩地森一教授の巻頭言を読めば,自ずとその方面に関心が高まるであろう.総論では,稀代の免疫学者に登場賜った.松野健二郎教授の免疫組織を一目見ると,すべての局在が手に取るように分かる.松口徹也教授の治療を意識した自然免疫の分子基盤を読むと,臨床家が,明日にでも素晴らしい治療法が出現するような期待が持たれる.そして,仲間であり,尊敬できる米山博之所長のケモカインとPALT理論は目からうろこが落ちることであろう.もちろん,松下祥教授の樹状細胞機能の自然免疫,獲得免疫の稿は小生の頭が見事に整理された.これら,総論を読破し,各論に入ると自然免疫の病態への関与が理解でき,その機序解明と治療への応用が現実のものとなる.
 HBV関連は小倉の無法松を心の支えとする日野啓輔教授が治療戦略を語った.見事な論理である.そして,HCV関連は大阪大学のお家芸である樹状細胞機能を考藤達哉講師がまとめ,将来的な展望を見せてくれた.中部地区の若手牽引車の石川哲也講師には再生との関連を執筆頂いた.理論派の真骨頂である.また,小生が新潟で一緒に仕事をしていた仲間の山際訓助手に,原発性胆汁性肝硬変と自然免疫を披露して頂いた.さらなる発展を期待している.肝疾患の最終到着点は肝細胞癌である.中本安成講師による免疫遺伝子療法の可能性は極めて興味深い.病気の発症の開始に関連する自然免疫による抗腫瘍活性機構が果たして作動するのか,おもしろい.基礎免疫学者の竹田和由助教授にNK細胞に発現する細胞傷害活性因子であるTRAILの疾患との関連性を説いて頂いた.どうも胆汁酸が何らかの関与を示しているようだとの指摘に思い当たる節が多々ある.
 最後に治療の可能性をそれぞれの専門家に尋ねた.日浅陽一講師には慢性肝炎に対する治療法の可能性を,免疫臨床家の喜多宏人講師にはNKT細胞の活性化が役立つのか,北野正剛教授には樹状ワクチン療法の可能性を,最後に富山智香子講師には移植肝への免疫寛容を示して頂いた.いずれもしっかりしたデータを示し,将来的に無限の可能性を示して頂いた.
 肝胆膵の編集会議で,いつも末席を汚しているが,attractiveな企画ほどまとめるのが難しい.自分の勉強のためと思って,今回の特集を企画した.一人でもこの免疫機構と病態,治療に関心を示していただければ,少しは肩の荷が下りるような気がする.
 

目次

〔巻頭言〕自然免疫は肝疾患研究の新しい流れ!               恩地 森一
Innate immunityの基礎  
 免疫担当細胞の局在 獨協医科大学                    上田 祐司,他
 自然免疫による異物認識の分子基盤(TLR,NLR,そしてRIG-I)       松口 徹也
 自然免疫の制御に関与するサイトカイン・ケモカイン
  (自然免疫の場としての肝臓の特殊性)                 米山 博之
 樹状細胞による自然免疫と獲得免疫のクロストーク             涌井 昌俊,他
各種肝疾患と自然免疫
 B型肝炎ウイルス感染における自然免疫応答                日野 啓輔,他
 C型慢性肝炎におけるNK,NKT細胞と樹状細胞                考藤 達哉
 肝再生と自然免疫 愛知医科大学                     石川 哲也,他
 PBC病態における自然免疫の関与                     山際  訓,他
 肝細胞癌に対する自然免疫による抗腫瘍活性                中本 安成,他
 TRAIL:肝NK細胞の特殊性と疾患への関与                 竹田 和由
自然免疫の制御による肝疾患治療の可能性
 慢性肝炎に対する樹状細胞療法                      阿部 雅則,他
 NKT細胞活性化による免疫療法                      喜多 宏人
 肝細胞癌に対する樹状細胞ワクチン療法                  岩下 幸雄,他
 自然免疫制御による移植肝に対する免疫寛容誘導              富山智香子,他

座談会                              (司会)市田 隆文
                                     石橋 大海
                                     中沼 安二
                                     竹原 徹郎
                                     大段 秀樹

臨床薬理
 ポリエンホスファチジルコリン(EPLR)のNASH治療効果(12カ月間の検討)  大林 浩幸,他
 Genotype 1かつ低ウイルス量,あるいはgenotype 2のC型慢性肝炎に
  対するPEG-インターフェロンα-2bとリバビリン24週併用療法の有効性
−インターフェロンα-2bとリバビリン24週間併用療法との比較−        熊田 博光,他
 

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