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  2006年 4月号 Innate immunityと肝病態 
      5月号 胆石症治療:最近の展開
      6月号 肝疾患に対する抗酸化ストレス療法
 

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最新号
 第52巻3号(2006年3月号) 特集/肝細胞癌の予防治療

定価(\) 2,898 送料(\) 150

編集後記

 肝細胞癌ほど病態と発癌の関係が明らかな癌はない.つまり,肝細胞癌は9割までがHCVやHBVの持続感染による慢性肝疾患(慢性肝炎や肝硬変)を背景に発癌する.そうであれば,HCVやHBVを排除できれば肝細胞癌の発生頻度は少なくなるはずであるが,事実,インターフェロンによりC型肝炎からの発癌率は低下し,ラミブジンによるB型肝炎からの発癌率も抑制されていることが明らかにされている.しかしながら,インターフェロンもラミブジンも効を奏せば,の話であって,HCVのインターフェロンに対する感受性や副作用の問題やHBVのラミブジン耐性の問題などによりこれらの治療によって肝細胞癌の発生が著しく抑制されるとは言い難い.
 HBVやHCVが肝細胞癌発生のKey roleに組み込まれていることは抗ウイルス剤による発癌抑制の成績をみれば頷けるが,B型肝細胞癌とC型肝細胞癌におけるその分子機構は明確でない.HBVについては,ある遺伝子型 (例えば,B型) のその特異的部分の遺伝子が宿主肝細胞核DNAの一定の部位 (例えば,p53遺伝子) への組込みが想定されてはいるがこれもいまだ明確ではない.一方,HCVの場合はHCVコアがミトコンドリアの電子伝達系に障害を与えることによって産生されたROSが細胞内に貯留しDNA傷害が生じることはかなり明確になり,瀉血による鉄ラジカル除去がC型肝細胞癌の発生を抑制するといった成績はその証拠ともいえる.つまり,実験発癌で明らかにされていた酸化ストレスと肝発癌の関連がC型肝細胞癌でも証明されたことになる.
 最近の話題の一つとして,肝発癌予防薬としての非環式レチノイドが開発治験という俎上にのったことで,有効性が確認されれば世界初の薬剤ということになる.発癌予防をどうすればよいか考えると,概念的には増殖抑制や腫瘍血管増殖抑制が頭に浮かぶし,実際にこのような薬剤の有用性が確かめられようとしている.谷川久一本誌編集委員長は巻頭言のタイトルとして“予防治療こそ肝細胞癌撲滅の唯一の手段”,そして“早期発見は延命効果にすぎない”と断言されている.先生の筋の通った過激なタイトルに感服!
 

目次

●特集

〔巻頭言〕予防治療こそ肝細胞癌撲滅の唯一の手段−早期発見は延命効果にすぎない− 谷川 久一
予防治療とその概念                               新津洋司郎
肝化学発癌から学んだこと                            中江  大
研究の現状
 肝庇護剤による発癌予防とその理論的背景                    荒瀬 康司
 漢方薬による発癌予防とその理論的背景                     内田 耕一,他
 ラミブジンによる発癌予防とその理論的背景                   松本 晶博,他
 インターフェロンによる発癌予防とその理論的背景                建石 良介,他
 レチノイドによる発癌予防とその理論的背景                   奥野 正隆,他
 ビタミンK2による発癌予防とその理論的背景                   水田 敏彦,他
 抗血管新生剤による発癌予防とその理論的背景                  田中 真二,他
 COX-2阻害薬による発癌予防とその理論的背景                   波田 壽一,他
 緑茶(カテキン)による発癌予防とその理論的背景                上野 隆登,他
 瀉血による発癌予防とその理論的背景                      大竹 孝明,他
 肝癌遺伝子治療による再発予防                         中本 安成,他


座談会                                 (司会)沖田  極
                                        森脇 久隆
                                        市田 隆文
                                        池田 健次
                                        鳥村 拓司
臨床薬理
 C型慢性肝炎に対するIFNα-2b/Ribavirin併用療法24週の治療成績
    −9施設(飯田橋肝炎研究会)による検討−                  吉川  雄二,他
 

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