今後の特集のご案内

「臨床精神医学」(46巻6号・2017年6月号)
特集/精神病理学の新課題―スペクトラムと臨床診断単位の認識論・存在論

「臨床精神医学」(46巻7号・2017年7月号)
特集/てんかん診療における精神科医の役割

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 45巻11号(2016年11月号特大号) 特集/私を変えた症例
定価(\)本体 4,900+税 送料(\) 200


編集後記

これまでいくつかの雑誌の査読に携わってきたが,最近感じるのは,特に若手の著者の場合,勉強会などで揉まれずに投稿されたと思しき論文が散見されることである。着眼点は面白いのであるが,研究論文としての構成がいかにも粗削りで,他人の目をとおして磨かれた痕跡がなく,独りよがりの論法となる。投稿する以上,ある程度の完成度が求められる。スポーツの地区予選を飛ばして全国大会にエントリーするわけにはいかない。
昔はよかったと御託を並べるつもりはないが,かつて大学や病院の医局は「知の震源地」であった。「受け持ちの誰さんにこんな症状がある」といった話を,カンファランスという形式張ったものでなく,ソファでコーヒー片手に先輩や同輩と,ときには終電車まで果てしなく論じ合った。自分の受け持ちでなくてもある程度は見知っている患者が話題となり,関心をシェアすることも容易である。「症例」とは何かを考えるとき,突飛な言い方であるが,原点は医局のソファにある。本特集は精神医学の専門分野を代表するエキスパートに執筆をお願いした。症例それ自体の興味ある記述に加え,そこから独自の概念やセオリーが練り上げられた手の内も披露されており,中身の豊富な特集が組まれたと自負している。読みながら,日々の患者との出会いに新しい発想の可能性が秘められていること,アイデアの芽は診察室と医局のソファにあることをあらためて思った次第である。
(N.Y.)

目次


特集のねらい (クボタクリニック)中 谷 陽 二…1333

精神医学を変えた症例─精神医学史上のパラダイムシフトは症例の記述・観察から始まる─ (東京大学名誉教授)松 下 正 明…1335

思春期やせ症の薬物漸増・漸減療法 (井之頭病院)浅 井 昌 弘…1345

人生を賭けた躁的防衛 (三田精神療法研究所)牛 島 定 信…1353

“ひとつの基準(セット)への固執” について─左前頭前野梗塞例の11年間の症状─ (国際医療福祉大学)鹿 島 晴 雄…1359

テレビの発達障害特集に出演した田中義彦さん─発達障害専門の外来とデイケアに集う人たち─ (昭和大学発達障害医療研究所)加 藤 進 昌…1365

私の症例 (愛知医科大学)兼 本 浩 祐…1375

うつ病の遷延状態を教えてくれた一例 (大宮厚生病院)小 島 卓 也…1379

それはなぜラカンによらなければ説明できないのか?─神経症と精神病─ (奈良大学)新 宮 一 成…1383

私を初期の精神病理学的研究へ導いた患者たち (出島診療所)中 根 允 文…1391

私を初期統合失調症研究へ導いた患者たち (原病院)中 安 信 夫…1397

老子哲学を応用することにより改善したうつ病の1 症例  (日本うつ病センター)野 村 総一郎…1405

類循環性精神病の症状を示した特発性副甲状腺機能低下症の一例─記憶に残る私の症例─ (豊郷臨床精神医学研究所)林   拓 二…1411

私を変えた症例─寝込んで出社できなくなる若手男性エリート社員─ (晴和病院)広 瀬 徹 也…1417

思春期妄想症の長期経過例 (中メンタルクリニック)村 上 靖 彦…1427

意識と意識障害を考えるきっかけとなった症例 (埼玉医科大学)山 内 俊 雄…1435

生前に一度も苦痛を訴えなかった局在関連性てんかんの1 例 (松原病院)山 口 成 良…1445

わたしを変えた症例 (高月病院)渡 辺 哲 夫…1449

研究報告
東日本大震災後に茨城県北茨城市に避難した福島県民のうつ,心的外傷,アルコール依存について─震災2 年後のアンケート調査の結果から─ 佐藤 晋爾・他…1457

思春期境界性パーソナリティ障害,広汎性発達障害合併例に対する自殺再企図防止のためのアプローチ 加 藤 晃 司…1467

初回エピソードうつ病患者の復職および再休職に影響する要因 中川 正俊・他…1475

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