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「臨床精神医学」(46巻12号・2017年12月号)
特集/日常診療における病識・病感・負担感の取り扱い〜治療効果を高めるための工夫〜

「臨床精神医学」(47巻1号・2018年1月号)
特集/精神科診療・研究に役立つ実践的倫理

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 44巻12号(2015年12月号) 特集/ひきこもりの諸相
定価(\)本体 2,900+税 送料(\) 150


編集後記

◇日本発で海外に広まった精神医学・心理学用語としてはamaeが筆頭にあげられるが,あらたにhikikomoriが登場した。本号の執筆者である斎藤環氏の著作がペーパーバックに英訳され(Hikikomori: Adolescence Without End),同じく本号の2篇の論文にあるように諸外国との共同研究も始まっている。ひきこもりは国境や文化を超えた現象という様相を呈している。

◇ひきこもりにはさまざまな行動が包括される。若者世代に限らず,高齢者でも「閉じこもり」が深刻な問題となっている。一方の極に統合失調症の基本障害である自閉,他方の極に現代人にみられるある種の生活スタイルを想定すると,ひきこもりを両極的なスペクトラムと解釈することもできる。家族や経済構造の変化,インターネットの爆発的普及など,背景に多様な社会文化的要因がからんでいる。事例の特性に応じて支援,相談,治療的介入のあり方も工夫されるだろう。

◇ひきこもりにポジティブな側面もあるだろうか。鴨長明が『方丈記』を著わした「草庵」,デカルトが一冬を過ごした「炉部屋」,ウィトゲンシュタインが隠遁したノルウェーの「山小屋」は彼らに思索の深化,パラダイムの転換をもたらした空間であったことを考えると,ひきこもりは創造性とも無縁でないかもしれない。

◇ひきこもりは社会精神医学の重要な課題であり,さらに教育・福祉など多方面への発展性を秘めたアクチュアルな鍵概念である。今回の特集によって関心が広く喚起されることを期待したい。

(N.Y.)

目次


「ひきこもり」をめぐる最近の動向 (筑波大学)斎 藤   環…1565

ひきこもりと児童・思春期精神医学

  (恩賜財団母子愛育会愛育研究所)齊 藤 万比古…1573

ひきこもる若者たち─データで見る現状と心理─ (徳島大学)境   泉 洋…1581

統合失調症と自閉 (元都立松沢病院副院長)藤 森 英 之…1589

独居高齢者における「閉じこもり」の実態とその支援

  (愛知県立大学)古 田 加代子…1595

精神科救急からみたひきこもり (岡山県精神科医療センター)来 住 由 樹…1601

ひきこもりケースに対する地域支援 (大正大学)近藤 直司・他…1607

多職種の協働によるひきこもり支援 (横浜国立大学保健管理センター)福榮 太郎・他…1613

ひきこもりと反社会的行動─少年非行に焦点を当てて─

  (八王子医療刑務所)奥 村 雄 介…1619

社会的ひきこもりに関する日本,米国,韓国,インドでの国際共同調査の紹介

  (九州大学)加藤 隆弘・他…1625

フランスと日本のひきこもり比較共同研究 (名古屋大学)古 橋 忠 晃…1637

ひきこもりとインターネット依存 (東京成徳大学)田 中   速…1645

❖シリーズ/日本の精神医学を築いた人々 第6部

 桜井 図南男─希代の精神科臨床家─ 西園 昌久…1651

❖シリーズ/現代精神医学の視点・論点(第2シリーズ)

 海図とコンパスを持って大海原にでかけよう 高橋 英彦…1655

❖研究報告

 カタトニアの急性期治療後の症状評価にFrontal Assement Batteryが有用であった一症例

永野 健太・他…1657

 多剤併用により,多彩な精神神経症状を呈した医薬品誘発性強迫症の1症例

  向井馨一郎・他…1665

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