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「臨床精神医学」(46巻6号・2017年6月号)
特集/精神病理学の新課題―スペクトラムと臨床診断単位の認識論・存在論

「臨床精神医学」(46巻7号・2017年7月号)
特集/てんかん診療における精神科医の役割

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 44巻7号(2015年7月号) 特集/精神医学におけるイノベーション─過去から未来へ─
定価(\)本体 2,900+税 送料(\) 150


編集後記

◇画期的な分子標的治療が次々と開発されているがん研究などを見ていると,ついつい,「精神医学では最近大きな進歩はないよね……」などとネガティヴなことを言ってしまいがちである。しかし,俯瞰した視点で眺めてみれば,過去1世紀の精神医学の歴史こそ,画期的な新発見による技術革新の繰り返しではなかっただろうか。

◇リチウム,ECT,抗精神病薬,抗うつ薬など,次々となされた画期的な治療法の発見により,百年前には長期入院を余儀なくされた多くの精神疾患が外来治療でコントロールできるようになったことを,イノベーションと呼ばずしてなんと言おうか。

◇最近でも,2時間以内に有効性が現れるといううつ病のケタミン療法,ナルコレプシーの原因を逆手にとってオレキシン拮抗薬を睡眠薬に使うアイデアなど,次々と新規治療法が生まれている。

◇さらに,かつては致死性緊張病と呼ばれた一群の患者の中に,抗NMDA受容体脳炎などの自己免疫性辺縁系脳炎が含まれていることが発見され,免疫療法による根本治療が可能となったことは,精神医学が医学の一分野であることを改めて実感させる出来事であった。

◇ただし,こうしたイノベーションの陰に,当初は画期的とされたが,その後問題点が明らかとなって,行われなくなった治療法もあることを忘れてはなるまい。

◇本特集が,精神医学におけるイノベーションの歴史を総括し,新たなブレークスルーにより未来の精神医学を創り出すために,少しでもお役に立つことを願っている。

(T.K.)

目次


現代薬物療法以前の精神科治療 (東京大学名誉教授)松下正明…921

「精神外科」の過去と現在 (東京財団)島次郎…931

電気けいれん療法の歴史とこれから (山梨大学)本橋伸高…939

リチウム療法の発見─新たなイノベーションへ─

  (理化学研究所脳科学総合研究センター)加藤忠史…945

抗精神病薬の発見─クロルプロマジンからクロザピンまで─

  (国立精神・神経医療研究センター)住吉太幹…953

アリピプラゾールの研究開発 (大塚製薬株式会社フェロー,Qs’研究所)菊地哲朗…959

抗うつ薬の歴史とこれから (東京慈恵会医科大学)古賀聖名子・他…965

DSM-Vによる診断革命とその後の問題点

  (認知行動療法研修開発センター)大 野   裕…973

即効性抗うつ薬としてのケタミンの発見 (千葉大学)橋本謙二…979

ナルコレプシーの原因解明とスボレキサント (吉田診療所)吉田  祥・他…985

抗NMDA受容体脳炎の発見 (秋田大学)筒井  幸・他…993



❖シリーズ/現代精神医学の視点・論点(第2シリーズ)

 施設や国を越えて仲間から学ぶ 館農  勝…1001

❖研究報告

 ナショナルデータベースを用いた外来診療における抗不安薬・睡眠薬の処方実態の検討

   荒川 亮介・他…1003

 せん妄に対するブロナンセリンの使用経験 富樫 哲也・他…1011

 介護負担の軽減を目指した認知症治療の意義 西 村 由 貴…1017

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