今後の特集のご案内

「臨床精神医学」(46巻10号・2017年10月号)
特集/成人の注意欠如・多動性障害(ADHD)の診断と治療

「臨床精神医学」(46巻11号・2017年11月公募論文特大号)
特集/超高齢化社会の精神科診療

バックナンバーはこちら




 43巻9号(2014年9月号公募論文特大号) 特集/医療観察法とその周辺─症例と取り組み
定価(\)本体 4,800+税 送料(\) 200


編集後記

◇猛暑を吹き飛ばす快著に出会った。アレン・フランセス著『〈正常〉を救え』(大野裕監修,講談社)である。著者はDSM-Wの作成委員長を務めたアメリカ精神医学界の重鎮である。序文によると,彼はキャリアの絶頂期にドロップアウトし,西海岸に隠棲してプール脇で読書三昧の日々を送った。ところがDSM-5の話題で盛り上がるアメリカ精神医学会のパーティーに顔を出したことがきっかけで猛然と書き上げたのが本書である。

◇フランセスは精神疾患の流行を過去から現在へとたどる。DSM-Wがはからずも引き起こしたADHD,自閉症,双極性障害などの過剰診断によって正常者まで患者のレッテルを貼られ,その一方で真に治療を必要とする患者が置き去りにされる現状を暴く。DSM-5はこれに輪をかけ,診断のインフレをハイパーインフレに変えかねない。背後にうごめくのは向精神薬の巨大市場を標的としてロビー活動や医師の抱き込みに驀進する製薬企業であるという。

◇本書はまさに快刀乱麻で,特にDSMに違和感を持つ読者には溜飲が下がる思いがするだろう。もっとも,みずから記しているようにDSM-W作成を主導し,製薬企業の資金援助を受けてきたフランセス自身も無疵ではない。アメリカ国内での本書の反響をぜひ知りたいところである。

◇DSMの功罪については多くが語られてきたが,DSM-5が新たな火種を提供することは間違いない。本誌では「日本の精神科医は米国DSM-5をどう読むか」と題する増刊号を準備中である。乞御期待。(N.Y.)

目次


特集にあたって (編集委員) 中 谷 陽 二…1213

❖座談会 「医療観察法とその周辺─症例と取り組み」

  中谷 陽二 (司会)・村上  優・田口 寿子・中島  直・佐藤  誠・村松 太郎…1217

❖公募論文

〈入院医療・鑑定〉

 山口県での医療観察法運用の現状から見えてきた課題…(山口県立こころの医療センター) 磯村 信治・他…1235

 医療観察法の申立て前に精神状態の悪化をきたした事例の対応について…(水海道厚生病院) 服部 訓典・他…1245

 再入院申立て棄却となった再鑑定の事例−入院処遇中の診療の評価の必要性と鑑定入院での外泊の有用性−…(多摩あおば病院) 中島  直・他…1253

 医療観察法鑑定の問題点…(下総精神医療センター) 中根  潤・他…1261

 医療観察法入院処遇対象者の身体合併症に対する総合病院精神科における治療構造設定と問題点…(鹿児島大学) 春日井基文・他…1269

 一般精神科医療への医療観察法に基づく医療の応用−クライシス・プランによる疾病自己管理と医療の自己決定−…(さいがた医療センター) 野 村 照 幸…1275

 医療観察法精神保健判定医のスキルアップのために…(花巻病院) 八木  深・他…1285

〈通院医療・地域ケア〉

 わが国における触法精神障害者通院医療の現状−2005〜2013年の全国調査の分析から−…(国立精神・神経医療研究センター) 安藤久美子・他…1293

 司法精神医学と触法精神障害者の社会内処遇のための司法と福祉の連携─地域生活定着支援センターの活動を通して─ …(日本医科大学) 野 村 俊 明…1303

 東京都内の医療観察法指定通院医療機関における業務量調査…(国立保健医療科学院) 福田  敬・他…1309

 東京都の医療観察法指定通院医療機関の精神保健福祉士が直面する困難に関する研究…(東海大学) 長沼 洋一・他…1317

 医療観察法施行前後の措置入院の変化─特に警察官通報の現状ならびに指定医の判断傾向について─ …(長崎県精神医療センター) 瀬戸 秀文・他…1325

 保護観察所で実施する集団支援の過程を通して見えてきた医療観察法下における家族支援の課題…(育ちの支援オフィスかんごの木) 新納 美美・他…1335

 触法精神障害者家族の現状と支援─文献的一考察─…(自治医科大学) 小池 純子・他…1345

〈病態・治療〉

 治療抵抗性のために長期の医療観察法による入院を余儀なくされた,月経周期に一致した躁状態を示す急速交代型双極性障害の1例…(奈良県立医科大学) 松岡  究・他…1353

 健忘を残したてんかん性病態下で傷害事件を起こした側頭葉てんかんの1例…(須田病院) 加藤 秀明・他…1363

 医療観察制度の現場から要請される課題─特に精神病理学的探求と自殺予防対策の必要性について─ …(東尾張病院) 吉 岡 眞 吾…1369

 犯行時の病的体験に関する陳述を疑うべきケースについて─妄追想の臨床観察から考える─ …(東尾張病院) 菅 原 誠 一…1377

 医療観察法の治療において精神病理現象をどのように活用するか−小精神自動症・要素現象に着目して治療が進展した症例を通じて−…(東尾張病院) 酒 井   崇…1385

 治療が進展しないときには問題発生機序の弁証法的な把握が有用である─入院長期化症例の退院を目指した関わりから─…(東尾張病院) 木 村   卓…1393

バックナンバーはこちら