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「臨床精神医学」(46巻12号・2017年12月号)
特集/日常診療における病識・病感・負担感の取り扱い〜治療効果を高めるための工夫〜

「臨床精神医学」(47巻1号・2018年1月号)
特集/精神科診療・研究に役立つ実践的倫理

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 42巻11号(2013年11月号) 特集/今こそ,リチウム療法を考える
定価(\)本体 2,800+税 送料(\) 150


編集後記

◇儲からない薬なのにリーマスを1980年,わが国で最初に売り出した大正製薬を称えたい。
◇リーマスは,わが精神科医40年の人生で最も印象強い薬である。研修医として東大精神科に入局したのは1973年。リーマス発売より遥か前であったが,すでにその頃,本多裕講師がこれを患者に使っておられた。尋ねたところ,「いい薬ですよ。使ってみてはいかがですか」と。読んだ症例報告(1968年)は佐久間もと先生によるものだった。自分は週1日勤務の中山病院(千葉県)で,大正製薬から治験中の錠剤を送ってもらい,使ってみることにした。当時はそういうことができた。血中濃度測定は検体を東大に持ち帰り,薬剤部の西原カズヨ先生にお願いした。次々と劇的に効く患者が現れた。まだ駆け出しの自分なのに,先輩がたをさしおいてまるで名医になったかのような気分になれた。当時,神保眞也医局長からは,「躁病にうまく対応できたら一人前だ」と聞かされていた。そのくらい,躁病は難物とされていたのである。
◇本特集企画担当の加藤忠史編集委員が巻頭に記しているとおり,リチウムは製薬業界では陽の当たらないクスリで,宣伝もされない。だが,「リーマス」のおかげで,多くの患者はそれまでの苦難の人生が一変し,平穏な日々を送れるようになる。再発予防効果も明らかだ。40年の臨床生活でそう実感する。
◇「リチウムを使いこなせる医師は腕の立つ医師だ」と聞くことがある。たしかに,典型例のみならず,非典型例の中にリチウム有効らしき患者を慧眼で見いだし,うまく使いこなすのが優れた精神科医の腕である。 (R.T.)

目次


特集にあたって (理化学研究所脳科学総合研究センター)加 藤 忠 史…1341
リチウム療法の歴史─特にJohn CadeとMogens Schouについて─
  (出島診療所)中 根 允 文…1343
双極性障害の維持療法とリチウム─他の薬剤との比較,併用を含む─
  (東京女子医科大学)菅 原 裕 子…1357
躁状態の治療とリチウム─第2世代抗精神病薬との比較,併用を含む─
  (九州大学病院)光安 博志・他…1363
うつ病に対するリチウムの効果 (北海道大学大学院)井 上   猛…1373
リチウムの自殺予防作用 (大分大学)寺尾  岳・他…1381
リチウムの薬物動態学と血中濃度測定 (国際医療福祉大学熱海病院)鈴 木 映 二…1389
リチウムの副作用と中毒 (東京女子医科大学東医療センター)山 田 和 男…1397
リチウムの作用機序 (北海道大学大学院)吉 岡 充 弘…1405
❖特別寄稿
 リーマス 絲 山 秋 子…1414
❖シリーズ 日本の精神医学を築いた人々〔第4部〕
 島崎敏樹―精神病理学の礎を築いた,厳しくも暖かい臨床家― 大森 健一…1417
❖シリーズ 現代精神医学の視点・論点〘リレーエッセイ(第1シリーズ)〙
 今,感じていること 山本  恵…1421
❖研究報告
 悪性症候群におけるチモール混濁試験(TTT),硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)の変動について
   菊池  章…1423
 胸部外科手術後せん妄18症例におけるブロナンセリンの使用経験 久保田祐子・他…1431
❖学会印象記
 第13回発達性ディスレクシア研究会 堀口 寿広…1437

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