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「臨床精神医学」(46巻11号・2017年11月公募論文特大号)
特集/超高齢化社会の精神科診療

「臨床精神医学」(46巻12号・2017年12月号)
特集/日常診療における病識・病感・負担感の取り扱い〜治療効果を高めるための工夫〜

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 41巻12号(2012年12月号) 特集/長寿社会における認知症診療の課題
定価(\)本体 2,750+税 送料(\) 150


編集後記

◇1999年以来わが国におけるアルツハイマー病治療薬はドネペジルだけであったが,昨年漸くガランタミン,リバスチグミン,メマンチンが欧米より11年,14年,9年遅れで承認された。これらの症状改善薬は必ずしも「治療薬」ではない。これらの薬剤を使用しても約1年後には認知機能は使用以前のレベルにまで低下し,その後も低下し続けるからである。

◇不幸にも2012年は,アルツハイマー病治療薬開発におけるターニングポイントとして記録される年となった。この領域の多くの研究者が待っていたアミロイド抗体療法の臨床治験結果が発表されたからである。2012年7月のBapineuzumab(AAB-001)のapoE4キャリア試験(ELN115727-302)の結果でも,2012年8月6日発表のapoE4ノンキャリア試験(ELN115727-301)でも,ADAS-cogとDADいずれの成績も有意差が得られなかった。8月27日には,solanezumab臨床治験の失敗が公表された。

◇1992年のアミロイドワクチンAN1792臨床治験中断以来20年にわたり進められてきたアミロイド抗体治療薬の失敗は,アルツハイマー病の病態治療薬の開発に対するペシミズムとなり,アミロイドカスケード仮説は正しいのか,動物実験とヒト対象治験との結果がなぜ乖離してしまうのか,アミロイド除去は必ずしも臨床症状改善につながらないのではないか,さらには,現行のアルツハイマー病に対する臨床治験の方法は正しくないのではないかとの議論を引き起こすこととなった。

これからのアルツハイマー病治療薬の臨床治験は,これまでのように臨床症状が発現した後の患者について,認知機能の改善を評価するという治験ではなく,臨床症状が発現する以前の患者(?)に対して投与される薬物により,認知症への移行が優位に抑制されるかどうかを主要な評価項目とする臨床治験が行われるようになるのであろう。

(T.M.)

目次


長寿社会のすがた

(大阪大学)武 田 雅 俊…1651

認知症患者の動向

(順天堂大学)新 井 平 伊…1659

新しいアルツハイマー病の診断基準

(筑波大学)朝 田   隆…1667

アルツハイマー型認知症の検査

(鳥取大学)浦 上 克 哉…1675

アルツハイマー病の薬物療法の展開

(大阪大学)田中 稔久・他…1681

これから必要とされるアルツハイマー病の非薬物療法

(東京都立松沢病院)斎 藤 正 彦…1693

認知症診療におけるケアマネジャー・介護職との多職種連携

(和光病院)今 井 幸 充…1699

認知症疾患医療センターの役割

(浅香山病院)繁 信 和 恵…1705

地域包括支援センターにおける認知症への取組み

(大阪府吹田市) ア 充 代…1715

認知症の訪問診療の実際

(海上寮療養所)上 野 秀 樹…1723

認知症診療におけるクリニカルパスと情報共有ノートを用いた認知症地域連携─つながりノート・みまもりノートの有用性─

(大阪大学)数井 裕光・他…1731

❖日本の精神医学を築いた人々〔第4部〕

連載 「日本の精神医学を築いた人々」 第4部の開始にあたって

 「臨床精神医学」 編集委員会…1742

林 ワ

 風祭  元…1743

❖研究報告

リワークプログラム利用中のストレス関連要因の変化

 羽岡 健史・他…1749

 WAIS-IIIに基づく高機能広汎性発達障害の認知プロフィール

 金井智恵子・他…1757

 Assertive Community Treatmentにおける診療報酬の観点から見た医療経済実態調査研究

 吉田 光爾・他…1767

❖海外だより

アメリカ,バーモント州の当事者による地域センター「アナザウェイ」の紹介

 下平美智代・他…1783

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