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「臨床精神医学」(46巻6号・2017年6月号)
特集/精神病理学の新課題―スペクトラムと臨床診断単位の認識論・存在論

「臨床精神医学」(46巻7号・2017年7月号)
特集/てんかん診療における精神科医の役割

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 第40巻3号(2011年3月号) 特集/双極性障害の新たな展開
定価(\)本体 2,750+税 送料(\) 150


編集後記

◇双極性障害は,より若年で発症し,多彩な病像を示す。若年者のうつ病が典型的でないように,若年者では双極性障害もアモルフなことが多い。気分障害の症状は,気分・行動・思考の3つのドメインに及ぶ。成人のように,メタサイコロジカルに気分の変調を語ってくれるなら判断はしやすいのだが,行動の変化が前景に出ていると,ADHD,行為障害,境界性パーソナリティ障害などとの鑑別が難しい。それは躁的行動が,多動,衝動性,焦燥,不機嫌・易怒性などでも特徴づけられるためである。逆に,双極性障害のうつ病相は得てして非定型的な病像を特徴とするため,これもまた“新型”などと決めつけられがちである。

◇双極性障害は本来周期性で特徴づけられる障害である。病相は(完全とはいかないまでも)寛解状態を挟むか,病相転移はあるかなどに注意を払う。そのほかにも第一度親族の双極性障害,抗うつ薬による躁転やアクチベーションの既往などが参考になる。しかし最も参考になるのは病前性格ではないかと思う。よくいわれる循環気質よりも,執着気質やhyperthymiaが多いように思う。

◇双極性障害が発症後の人生に及ぼす影響は甚大なものがある。朗報は,薬物療法とともに心理社会的治療法にも進歩がみられていることである。適切な診断と治療が行われるならば,その予後は相当に改善できるのではあるまいか。本号の特集と併せて,2006年35巻10号の特集が参考になれば幸いである。

目次


双極性障害の臨床について思うこと (九州大学)神 庭 重 信…237

双極性障害の概念:近代概念の成立からバイポーラースペクトラムまで

  (自治医科大学)阿 部 隆 明…241

双極性障害の評価尺度:過小診断と過剰診断の問題をふまえて

  (北海道大学)田中 輝明・他…251

双極性障害の鑑別疾患・併存疾患−大うつ病性障害の

 寛解前気分動揺期との鑑別を中心に (信州大学)杉山 暢宏・他…261

双極性障害の診断が抱える問題:DSM-5草案における改訂の試み

  (北海道大学)井上  猛・他…271

米国での双極性障害の過剰診断から学ぶ:それはなぜ起こり,何を残したのか?

  (Mayo Clinic)篠 崎   元…279

混合性病像の診断と治療 (大分大学)寺尾  岳・他…283

双極性障害の分子生物学の最近の進歩 (理化学研究所)高田  篤・他…291

双極性障害の脳画像と神経生理学 (九州大学)織部 直弥・他…299

NIMH─STEP-BD研究が明らかにした双極性障害の事実と今後の課題

  (慶應義塾大学)中島振一郎・他…309

双極性障害の薬物療法update (名古屋大学)幸村 州洋・他…317

薬物療法の副作用モニタリングで必要なこと (東京女子医科大学)菅原 裕子・他…329

双極性障害の心理教育と心理社会的治療

  (水島広子こころの健康クリニック)水 島 広 子…341

双極性障害の復職に際して〜双極U型障害を中心に〜

  (仁大クリニック)奥山 真司・他…349

❖研究報告

 統合失調症患者の社会参加意欲と抗精神病薬の効果との関係についての調査

   桑原 秀徳・他…361

 Lamotrigineの双極T型障害に対する臨床評価−気分エピソードの

  再発・再燃抑制を指標としたプラセボ対照二重盲検比較試験− 小山  司・他…369

 強制行為を呈した脳血管障害の2症例−「病的笑い」と「常同行為」−

   江原  嵩・他…385

❖海外だより

 ソウル精神科医療視察記−ソウル国立病院とEunpyong病院を訪問して−

   勝田 吉彰…393

❖書評

 精神科医療が目指すもの─変転と不易の五○年(吉松 和哉著)

  小林 聡幸…399

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