今後の特集のご案内

「臨床精神医学」(46巻6号・2017年6月号)
特集/精神病理学の新課題―スペクトラムと臨床診断単位の認識論・存在論

「臨床精神医学」(46巻7号・2017年7月号)
特集/てんかん診療における精神科医の役割

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 第39巻8号(2010年8月号) 特集/脳科学時代の精神病理学
定価(\)本体 2,750+税 送料(\) 150


編集後記

◇ヤスパース,シュナイダーの時代に基礎が築かれた精神病理学は,時代がどのように変化しようとも常に精神医学の根幹をなすべきものである。ところが,精神医学の某後進国から発した精神病理学なき精神障害分類が世界を席巻していったのと時を同じくして,日本の精神病理学「業界」は,高踏的でオシャレな言説をペダンチックに弄んでいるうちに精神科医たちから見放されていった,とある人が語っている。一方,その間,大きく進歩したかに見える「脳科学」ではあるが,その先端を切り拓く「意識(主観的体験)の科学」の意義や,「個体を超えた生命の存続」という生命現象の原理が脳と精神の現象に貫徹していることは,あまり知られてはいないらしい。「脳科学者」たちはいつになったら要素還元論以上のものを構想してくれるのだろう。

◇しかし,現在はあまり注目されていないとしても,精神現象の本質が論じられる時代がいつかは来る。「心のことは心でしか理解できない」が,そういう心という現象でありながら,それが同時に宇宙に展開されてきた自然現象でもあることが次第に明らかにされていく。そこで形成される「全体知」の中で,新たな精神病理学が生まれてくるに違いない。……こんな夢想が実現されるのは何十年,何百年先のことかわからないが,本特集号は果たして,そこに至るための一歩となりえただろうか……,うーん……。

◇本特集企画にご協力いただいた加藤敏(自治医科大学)教授に感謝申し上げる。

目次


変容する21世紀社会と精神病理学

 −精神障害と社会との連関をいかに「科学」するか−

  (名古屋大学)鈴 木 國 文… 965

新しい精神の科学と精神病理学 (埼玉医科大学)豊 嶋 良 一… 973

脳科学大衆化の時代の精神病理学 (京都大学)村 井 俊 哉… 985

精神病理学は精神疾患の脳科学研究の片翼を担うものである

  (医療法人原会原病院)中 安 信 夫… 993

世界の精神医学の動向に見てとれる精神病理学の要請

 −DSM-5,ICD-11に向けて− (自治医科大学)加 藤   敏…1005

精神科薬物療法と精神病理学−ネオヒポクラティズムの視点から−

  (翆星ヒーリングセンター)八 木 剛 平…1017

統合失調症の精神病理と脳科学−脳を揺すぶる志向性−

  (東京藝術大学保健管理センター)内 海   健…1027

精神病理学からする「抑うつ症候群」の分類と診断

  (慶應義塾大学)古 茶 大 樹…1039

司法精神医学と脳科学―善悪の彼岸― (筑波大学)中 谷 陽 二…1045

❖研究報告

犯罪被害者遺族における複雑性悲嘆及びPTSDに関連する要因の分析

  白井 明美・他…1053

対人認知尺度作成の試み−少年院在院者への社会的スキル尺度作成を通して−

  宮口 幸治・他…1065

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