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特集/てんかん診療における精神科医の役割

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 第38巻6号(2009年6月号) 特集/緊張病(カタトニア)・再考
定価(\)本体 2,750+税 送料(\) 150


編集後記

◇Kahlbaumの緊張病(カタトニア)は循環性の経過で予後良好なものを含んでいたが,Kraepelinは慢性に経過し荒廃に至る経過の緊張病に注目して,早発性痴呆の一亜型として緊張病を規定した。その考え方がDSMやICDに引き継がれ,緊張病は主に統合失調症の一亜型として位置づけられてきた。しかしながら,緊張病症状は,統合失調症よりも気分障害に関連して認められることがより多く,器質性精神障害においても認められ,症状のみでは原疾患を特定することは困難であることが明らかになった。また,緊張病症状はしばしば身体合併症を伴うことが多く,治療の遅れは致死的な転帰をもたらすことがある。加えて,緊張病症状は原疾患の如何にかかわらず,一定の治療が有効なことが明らかにされた。以上の理由から,緊張病を統合失調症の一亜型に限定して考えるのではなく,緊張病症状を呈する状態を1つの緊張病症候群(カタトニア症候群)として診断し,早急な治療を行うことが推奨されるようになった。

◇本特集では,緊張病概念の歴史的な変遷を踏まえたうえで,緊張病概念に関する最近の動向,関連する病態,治療について概説をしていただいた。その中には,緊張病症状を呈する疾患単位を抽出するカテゴリーモデルと,疾患単位を求めず緊張病症状という評価軸から診断治療を考えるディメンジョンモデルの2つのアプローチがある。緊張病に関する最近の研究を理解するにはこの2つのアプローチの整理が必要である。

◇緊張病はKatatonieの略であるが,すくなくとも後者のディメンジョンモデルに基づく場合は,「病」のつく緊張病とするよりもカタトニアまたはカタトニア症候群とするのが誤解をまねかないのではないかと思う。この点についても今後の議論を期待したい。

目次


Kahlbaumの緊張病:緊張病概念の起源 (研精会稲城台病院)渡 辺 哲 夫…757

Kraepelinの緊張病:統合失調症の一臨床形態としての緊張病

  (東京都立松沢病院)針間 博彦・他…765

ウェルニッケ−クライスト−レオンハルト学派の緊張病と非定型精神病

(豊郷病院)林   拓 二…775

カタトニア概念の再検討 (仙台市立病院精神科・認知症疾患医療センター)鈴 木 一 正…783

器質性緊張病 (横浜市立大学附属市民総合医療センター 精神医療センター)小田原 俊 成…791

遅発緊張病の疾病分類学上の位置づけ (慶應義塾大学)古 茶 大 樹…799

自閉症と緊張病(カタトニア) (心の発達研究所)太 田 昌 孝…805

悪性緊張病と悪性症候群 (自治医科大学)西 嶋 康 一…813

精神科身体合併症病棟でみられた緊張病─昏迷と身体疾患の関連と昏迷に対する治療─

(東京都立松沢病院)野中 俊宏・他…821

カタトニア症候群の治療 (日本医科大学)大久保 善 朗…827

❖短報

嚥下恐怖を伴った摂食障害男児の1例  廣保  究・他…833

❖研究報告

大脳皮質基底核変性症の4症例  宇田川充隆・他…837

❖シリーズ/日本精神医学新風土記(27)

京 都 府  崔  秀賢…845

❖学会印象記

第26回日本森田療法学会 黒木 俊秀…854

ドイツ・ハイデルベルクDISCOS国際カンファレンス 阿部又一郎…856

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