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 第38巻5号(2009年5月号特大号) 特集/心神喪失者等医療観察法の改正をめぐって
定価(\)本体 6,200+税 送料(\) 200


編集後記

◇紆余曲折の末に誕生した心神喪失者等医療観察法が早くも施行5年目に入ろうとしている。立法の過程で議論が尽くされたかというと,決してそうではない。むしろ,介護保険制度について指摘されるのと同様,まずは立ち上げて「走りながら考える」という側面があったことは否めない。

◇そのためか,指定入院医療機関の不足を始めとして,難題が山積している。5年目の見直しにあたって制度を根幹から変えるべきか意見は分かれるが,制定当初に想い描かれていたイメージと現状との間にギャップが生じていることは確かである。関係者が叡智を集め,見直しに正面から取り組むべきであることに異論はないだろう。

◇制度をよりよく変えてゆくには,何よりも運用実態の正確な把握が必要である。すでに経験が蓄積されている現時点は,制度を多角的に検証して問題点を掘り起こす絶好の機会である。現場の情報を関係者が共有することが現実的な改革の第一歩である。

◇たびたび指摘されているように,医療観察法制度の特徴は司法と医療・福祉の緊密な連携にある。法と精神医学が共通語で語る場を持ったことは大きな前進である。しかしこの点でも意思疎通は必ずしも十分とはいえない。また国民の理解も今後の課題として残されている。

◇本特集は,医療観察法の現状と問題点を浮き彫りにする目的で,幅広い職種と立場からの意見と提言を求めた。今後の建設的な見直し論議の足がかりになることを期待している。       (N.Y)

目次


 第1部  医療観察法の性格と位置づけ

1. 触法精神障害者にとって,医療環境はどう変わるか (筑波大学)中 谷 陽 二…513

2. 医療観察法の制定過程とその性格論争 (京都大学名誉教授)中 山 研 一…519

3. 医療観察法と刑事司法 (南山大学)水 留 正 流…523

4. 刑事政策学から見た『医療観察法』の問題点 (加藤久雄法律事務所)加 藤 久 雄…529

 第2部  申立てと鑑定

1. 医療観察法の対象と検察官の申立権 (北海道合同法律事務所)加 藤 丈 晴…539

2. 起訴前簡易精神鑑定と医療観察法 (慶應義塾大学)古 茶 大 樹…545

3. 鑑定入院の現状と課題 (公立豊岡病院)吉 岡 隆 一…551

4. 鑑定ガイドラインの開発 (国立病院機構琉球病院)村 上   優…557

5. 「『この法律による医療』の必要性」とその評価 (東京都立松沢病院)田 口 寿 子…563

6. 医療観察法におけるリスク評価

   (千葉大学社会精神保健教育研究センター)五十嵐 禎 人…571

7. 医療観察法と物質使用障害 (国立精神・神経センター)松本 俊彦・他…577

 第3部  審 判

1. 精神保健審判員から見た審判 (洛南病院)岡 江   晃…583

2. 医療観察法の「医療の必要」とは何か─2007年7月25日付

  最高裁決定をめぐって─ (日弁連刑事法制委員会・医療観察法部会)渡 辺   脩…589

3. 処遇決定の現状─不処遇事例を中心に─ (初石病院)和田久美子・他…593

4. 最高裁平成19年7月25日決定をめぐって (明治学院大学)山 本 輝 之…603

5. 医療観察法における再審の可能性 (東海大学)柑 本 美 和…609

 第4部  入 院 医 療

1. 医療観察法における施設基盤の整備 (国立精神・神経センター)吉川 和男・他…617

2. 指定入院医療機関における治療プログラムの開発

   (国立精神・神経センター)永田 貴子・他…623

3. 自治体病院からみた医療観察法の将来 (岡山県精神科医療センター)来住 由樹・他…631

4. 特定医療施設等に関する省令改正の問題性

   (京都弁護士会・日弁連刑事法制委員会・医療観察法対策部会)石 側 亮 太…635

 第5部  通 院 医 療

1. 医療観察法対象者の地域サポートの将来像 (松原病院)松 原 三 郎…641

2. 医療観察法と通院プログラム (国立病院機構東尾張病院)吉 岡 眞 吾…647

3. 医療観察法対象者の精神保健福祉法による入院

   (精神医学研究所附属東京武蔵野病院)藤 村 尚 宏…653

4. 地域精神保健福祉における医療観察法の宿命的異質性

   (国立病院機構仙台医療センター)岡 崎 伸 郎…661

5. 医療観察法と社会復帰 (もりおか法律事務所)小笠原 基 也…667

 第6部  人 的 資 源

1. 医療観察法と司法精神医学の人材育成 (京都大学)大 下   顕…673

2. 精神保健判定医のスキルアップ (国立病院機構東尾張病院)八 木   深…679

3. 精神保健参与員の役割はいかにあるべきか─医療観察法における審判の変遷と

  精神保健参与員の役割について─ (国立精神・神経センター)三 澤 孝 夫…687

4. 医療観察法と多職種チームの可能性 (東京医科歯科大学)宮 本 真 巳…693

5. 医療観察法の将来と精神科医への期待 (前橋地方裁判所)岡 田 雄 一…699

 第7部  関 連 問 題

1. 医療観察法と措置入院のあいだ (京都産業大学)川 本 哲 郎…705

2. 医療観察法と処遇困難患者 (群馬県立精神医療センター)武 井   満…709

3. 医療と保安の観点から見た医療観察法 (多摩あおば病院)中 島   直…715

4. 医療観察法と患者の権利保障─その困難な道のり─

   (東京精神医療人権センター)小 林 信 子…721

5. 矯正医療からみた医療観察法 (北九州医療刑務所)主 藤 順 也…727

 第8部  医療観察法の今後

1. 医療観察法3年の到達点と見直しの方向 (大阪弁護士会)伊 賀 興 一…733

2. 医療観察法で精神科医療は「底上げ」されるか (千葉大学)椎 名 明 大…739

3. 医療観察法と司法精神医学の将来 (初石病院)山 上   晧…746

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