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 第38巻1号(2009年1月号) 特集/神経経済学─社会における意思決定の神経基盤と精神医学─
定価(\)本体 2,750+税 送料(\) 150


編集後記

◇今回は,神経経済学(neuroeconomics)の特集号をお届けする。世界の高等研究機関において,理系と文系の学問領域の融合が言われて久しい。いわゆる学際領域である。心理学と経済学の融合領域としての神経経済学(neuroeconomics)もその一つである。不確定な状況下での意思決定,リスクを伴う意思決定,社会での行動決定などについて,分子遺伝学,神経化学,脳機能画像などのアプローチとともに,心理学的知見が統合されて,人の経済学的活動にまで応用されようとしている。

◇今回の企画は,金沢大学医学系研究科の東田陽博先生に負うところが多い。本特集に紹介されているように,東田研究室ではCD38分子がオキシトシン作用に必要であり,CD38分子が動物の行動に影響を与えていることを明らかにされている。昨年ある学会でトピックスの企画として,東田先生から「神経経済学」という魅力的な提案をいただいた。基本的には東田先生のアイデアを借用する形で本特集が企画された。

◇特集原稿を寄稿していただいた方々の専門領域は,その内容を反映して学際的となった。神経科学者(山田,東田),経済学者(高橋,竹村,晝間),精神医学者(加藤,森山,村井)からの原稿を掲載できたことは,この新しい領域がお互いの立場からの知見の交流を必要としていることから,十分に意味のある企画となっているのではないかと思う。素晴らしい内容の原稿を寄稿していただいた著者に感謝したい。

◇「社会におけるヒトの行動」は精神医学の本来的な問題である。多くの異常行動を精神障害として理解してきたが,未だ精神障害あるいは精神疾患として規定できない行動異常はたくさんある。一方,社会とともに行動異常の様態も大きく変化しつつあり,物質乱用,ギャンブリング,自傷行為などの社会的な自己破壊衝動を呈するものが増加している。神経経済学は今で発展途上の学際領域ではあるが,これらの知見は,現代の精神医学が遭遇する多くの異常行動の理解に役立つものであろう。                 (T.M.)

目次


神経経済学と精神医学 (大阪大学)武 田 雅 俊

ドーパミン神経系と意思決定─薬物依存者における機能障害─ (名古屋大学)山 田 清 文

オキシトシン系─社会認知行動・信頼の神経化学─ (金沢大学)東田 陽博・他

社会における意思決定の神経基盤 (北海道大学)高 橋 泰 城

意思決定と神経経済学 (早稲田大学)竹 村 和 久

脳の特性と経済行動 (早稲田大学)晝 間 文 彦

不確実な状況下での意思決定─ギャンブリング課題と前頭葉眼窩部の機能─

  (慶應義塾大学)加 藤   隆

ヒト社会のギャンブリング行動 (通谷メンタルクリニック)森 山 成 

社会におけるヒトの行動パターンを規定するもの  (京都大学)村 井 俊 哉

❖研究報告

初期統合失調症 (中安)における随意的注意集中力減弱(「ボーッ」)体験

  田中 健滋

❖紹介

精神障害者に対する高等教育の支援  武田 隆綱

❖書評

精神医学対話 松下 正明 加藤 敏 神庭 重信 編 神田橋條治

❖シリーズ/日本精神医学新風土記(23)

神  奈  川  県 石井 紀夫

❖シリーズ/精神医学用語解説

342.The broad autism phenotype 鷲見  聡

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