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「臨床精神医学」(46巻11号・2017年11月公募論文特大号)
特集/超高齢化社会の精神科診療

「臨床精神医学」(46巻12号・2017年12月号)
特集/日常診療における病識・病感・負担感の取り扱い〜治療効果を高めるための工夫〜

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 第37巻11号(2008年11月号) 特集/摂食障害と食行動異常─最近のトピックス─
定価(\)本体 2,750+税 送料(\) 150


編集後記

◇生物体としてのヒトにとって,「食べる」 ことは生存や種の保存のための最もベーシックな行動であることはいうまでもない。しかし,社会・文化的存在として人間をとらえると,「食べる」 ことは単に生存手段であるだけでなく,精神的な充足や社交を媒介する手段でもある。人間関係の中で食物の受け渡しは愛情のやり取りへと意味を変じる。つまり,人間行動としての 「食」 は多義的,多層的ということができる。

◇他方,メディアを舞台にしたグルメやレシピの情報,食にまつわるイメージの氾濫からうかがわれるのは,現代人を取り巻く著しく多様化した食文化である。さらに食は身体的成熟を通して,ある時代で理想とされるボディイメージとも深く関わっている。

◇摂食障害は裾野の広い現象で,行動の正常と異常の境界は不鮮明で連続的である。いつ,健康目的のダイエットは病的な過食に移行するのだろうか。摂食障害予備軍の存在は軽視できない現象であり,効果的な予防や教育のためにも疫学研究の成果が待たれる。

◇本号の特集では,摂食障害とその周辺の食行動をめぐって,医療の場から教育の場まで,さまざまな視点で論じられ,病態の複雑さ,奥の深さが浮き彫りにされている。摂食障害患者に少なくない 「やせ薬」 の乱用やスーパーでの食品万引きは,臨床家を悩ませる隠れた問題である。治療の面では,従来の精神療法や認知行動療法に加えて,クリニカルパスの策定や薬物療法に今後の発展が期待される。

(N.Y.)

目次


摂食障害と現代─その意味と課題について─ (大阪大学)井 上 洋 一

女性の摂食障害は増えているか─1990年以降の疫学調査結果に基づくレヴュー─

  (浜松医科大学)河合 正好・他

予防の視点―健康なダイエットと病的なダイエット― (浪速生野病院)生 野 照 子

摂食障害患者の万引きの法的処分をめぐって─現状と問題点─

  (自由が丘高木クリニック)高木洲一郎・他

摂食障害と「やせ薬」─合法と非合法のあいだ─

  (国立精神・神経センター精神保健研究所)松本 俊彦・他

摂食障害のクリニカルパス (大阪市立大学)永田 利彦・他

神経性食欲不振症と神経性大食症のクリニカルパス(心療内科) (九州大学)波夛 伴和・他

摂食障害に対する家族療法の効果 (中村心理療法研究室)中 村 伸 一

薬物療法の可能性 (大阪市立大学)切 池 信 夫

❖研究報告

青年期女子外来患者における自傷行為 鈴村 俊介・他

高齢者の精神症状と行動障害に対するperospironeの治療効果 江原  嵩・他

❖書評

気分障害 上島国利 ほか編 大熊 輝雄

❖シリーズ/日本精神医学新風土記(21)

福 島 県 海野 幸浩

❖シリーズ/精神医学用語解説

340.弁証法的行動療法 小野 和哉

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