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「臨床精神医学」(46巻6号・2017年6月号)
特集/精神病理学の新課題―スペクトラムと臨床診断単位の認識論・存在論

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特集/てんかん診療における精神科医の役割

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 第37巻9号(2008年9月号公募論文特大号) 特集/うつ病周辺群のアナトミー
定価(\)本体 4,600+税 送料(\) 200


編集後記

◇かつて牛肉を食べなかった日本人にとっては牛の肉は “牛肉” でしかなかった。これを食べるようになってから,ロースだサーロインだというようになった。部位により,味(うつ病では症状)が違い,調理法(治療法)が異なるからである。うつ病も時代とともに変わるだろうが,みる目が変わったのだという説も大いに賛成である。

◇一見して軽くみえる抑うつ状態が,うつ病の再発の経過のなかで認められることも少なくない。一見して重いうつ病患者が,職場の移動などの環境変化により,たちどころに治ることがある。抗うつ薬が効いたのかと思えば,“実は飲んでいなかった。上司が異動になったので楽になった”と明かされる。懸命に向き合っていると,あるとき用いた抗うつ薬で躁転したりする。無力感に襲われるときである。

◇将来に期待されるのが,神経現象学(neurophenomenology)である。神経現象学とは,意識経験(first-person experience)を神経科学的手法(fMRI, PET, MEGなど)の対象とすることで,個人的な,感情的な,経験的な,あるいは現象学の次元の心を,神経科学の次元で理解しようとする試みだ。オートポイエーシスの提唱でも知られるゆえFrancisco Varelaによる用語である。

漱石は,「大学の教授を十年間一生懸命にやったら,大抵のものは神経衰弱に罹り……ピンピンしていられるのは,皆嘘の学者」(現代日本の開花)と,なんとも手厳しいが,うつ病のことを考えているだけでも神経衰弱になりそうである。(K.S.)

目次


序 文 (九州大学)神 庭 重 信

❖座談会 うつ病のプロトタイプは変わったのか

  狩野 力八郎/江口 重幸/内海  健/阿部 隆明/神庭 重信(司会)

❖うつ病周辺群への考察

変化するうつ病とその治療について考える (川崎医科大学)青 木 省 三

産業精神医学にみられる軽症遷延例 (NTT東日本関東病院)秋山  剛・他

うつ病のリハビリテーション現場からみえる現代のうつ病 (メディカルケア虎ノ門)五十嵐 良 雄

うつ病周辺群の診断と治療を考える─逃避型抑うつの1症例を通して─ (長崎大学)岩永 洋一・他

うつ病周辺に鎮座する内因性うつ病 (東京女子大学)牛 島 定 信

うつ病の周辺 (徳島大学)大 森 哲 郎

不安障害の既往/併発がある一群に気づくことの大切さ (パニック障害研究センター)貝 谷 久 宣

現代社会における喪の作業と「正常な抑うつ」 (自治医科大学)加 藤   敏

鬱のジェンダー─北米と日本におけるうつ病の医療化言説を比較して─ (慶應義塾大学)北 中 淳 子

子どものうつ病の非定型性について (国立国際医療センター国府台病院)齊 藤 万比古

「再帰性うつ病」の時代 (佐々木病院)斎 藤   環

非定型うつ病はうつ病か? (東京女子医科大学)坂 元   薫

「うつ病」の外延―正常な憂うつ,正常な疲弊 (名古屋大学)鈴 木 國 文

子どものうつ病と大人のうつ病をつなぐ鍵概念─発達障害の視点から─ (北海道大学)傳 田 健 三

現代のうつ病像への一視角 (東京慈恵会医科大学附属第三病院)中 村   敬

「軽症うつ病」はうつ病? (国立精神・神経センター)樋 口 輝 彦

逃避型抑うつとディスチミア親和型うつ病 (財団法人神経研究所・晴和病院)広 瀬 徹 也

❖公募論文 うつ病周辺群のアナトミー

月経前不快気分障害(PMDD)再考─月経周期と神経伝達物質動態について─

  (愛知医科大学)深津 尚史・他

発達障害児の保護者にみられた気分障害の特徴 (国立精神・神経センター)堀口 寿広・他

拡大自殺により実子を殺害したうつ病者に関する考察 (鹿児島大学)赤崎 安昭・他

ウェブサイトを用いたインターネット上の抑うつ状態の検討 (ホスピタル坂東)太田 深秀・他

ソフト・シゾチミア性格者の青年期うつ病とその精神療法的視点からの一考察

 ─病前性格論から回復の状況論へ架橋する試論として─ (東尾張病院)吉 岡 眞 吾

大うつ病性障害を呈したアスペルガ−障害の青年期症例 (東京慈恵会医科大学)小野 和哉・他

内因性うつ病の病状が軽快した後も社会復帰に困難が続く3症例 (帯広病院)長田 陽一・他

目的反応としての「軽症うつ病」 (慶應義塾大学)古 茶 大 樹

高齢初発の双極性うつ病の1例

 ─精神運動制止とメランコリー性うつ病(Parker Gら)─ (緑ヶ丘病院)迎     豊

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