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「臨床精神医学」(46巻10号・2017年10月号)
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「臨床精神医学」(46巻11号・2017年11月公募論文特大号)
特集/超高齢化社会の精神科診療

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 第36巻9号(2007年9月号公募論文特大号) 特集/触法精神障害者のアセスメントと治療
定価(\)本体 4,600+税 送料(\) 200


編集後記

◇かつての 「精神障害犯罪者」 という用語が 「触法精神障害者」 に置き換えられて久しい。どちらも英語ではmentally disordered offenderであるが,責任無能力と認定された人は定義上は犯罪者といえないことから,14歳未満の 「触法少年」 のことばに習ってつくられたのがこのことばである。犯罪者というスティグマを付することのデメリットが考慮されたことも広まった要因だろう。

◇単なることばのいい替えだという批判や,新しいレッテルをつくったに過ぎないという見方もあるだろう。しかしこの問題を広く議論する一助となったことは確かである。要は,医療サービスを提供する対象者として明確に認知することである。

◇本特集はアセスメントと治療の両面から構成されている。司法精神医療においては,医学的診断に加えて,触法行為のリスク評価とそれに基づいたマネージメントが欠かせない。アセスメントについては,評価ツールの開発ももちろんであるが,「リスク」という概念に倫理的側面も含めてこだわることも必要だろう。

◇本号の投稿論文を見て印象づけられる点は,医療観察法の施行に触発されて,各地で実践的な取り組みが試みられ,現場に根を下ろした司法精神医学が発展する兆しがみられることである。また措置入院,起訴前や公判での精神鑑定,医療刑務所での処遇など,医療観察法を取り巻く問題も論じられている。触法精神障害者への関心が一時的な司法精神医学ブームに終わることなく,実態の究明を通して制度改革の機運につながることを期待したい。



目次


●特集

視線処理における側頭葉・扁桃体の役割と統合失調症                秋山 知子・他

精神保健指定医の措置入院要否判断に影響する因子について

 ─措置入院に関する診断書のロジスティック回帰分析による検討─         瀬戸 秀文・他

私的精神鑑定の意義                               高田 知二・他

鹿児島県における司法精神医学の現状と課題

 ─司法精神医学教育システムおよびネットワークの確立に向けて─         赤崎 安昭・他

医療観察法精神鑑定の現状と問題点について

 ─東尾張病院における法施行後16例の鑑定経験から─               吉岡 眞吾・他

医療観察法審判における修復的司法の可能性について                田中  速・他

統合失調症患者の再他害行為防止のための心理学的介入

 ─医療観察法指定入院医療機関における介入構造─                菊池安希子・他

下総精神医療センター医療観察法病棟の経験─(1)課題と問題点─          藤井 龍一・他

下総精神医療センター医療観察法病棟の経験─

 (2)身体管理のためのクリティカルパスの意義─                 藤井 龍一・他

下総精神医療センター医療観察法病棟の経験─

 (3)運動機能の障害を持った対象者に対する作業療法─              浜谷 剛大・他

セルフモニタリングツールとしての「グリーンカード」を用いた緊急時の介入     八木  深・他

指定入院医療機関における対象行為についての話し合いの実際            熊地 美枝・他

スイスにおけるリスクアセスメント                        東本 愛香・他

司法精神科患者のリスク・アセスメントにおける

 ヘア・サイコパシーチェックリストPCL-R2003の有用性               西村 由貴

自らの加害行為によるPTSD類似症状─医療観察法の実子殺害例の検討から─      安藤久美子・他

児童自立支援施設入所児童に対する

 Disorder of Extreme Stress not Otherwise Specified(DESNOS)評価の試み    森田 展彰・他

医療刑務所における拘禁反応の臨床的検討                     深津 孝英・他

心神喪失者等医療観察法に対する弁護士の関心─アンケート調査から─        小池 純子・他



●座談会                                    林  幸司

                                        川本 哲郎

                                        平田 豊明

                                        平林 直次

                                        中谷 陽二(司会)

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