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特集/てんかん診療における精神科医の役割

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 第35巻6号(2006年6月号) 特集/神経症圏障害のすべて
定価(\)本体 6,200+税 送料(\) 310


編集後記

◇神経症という用語は,18世紀に英国のCullen, Wにより導入されたもので,元来「解剖学的損傷のみられない神経機能の障害」という意味であった。しかしこの当時には病理が発見できなかった神経疾患なども含まれていたようである。その後,神経症の概念として心因性に起こることが重要視され,心因としては,環境,性格,患者自身の心の構えなどが重視された。19世紀になると,もっぱら精神分析学の対象とされ,治療も分析的理解に基づく精神療法が主体であった。

◇神経症概念が後退するのは,DSM-V(1980)の導入によってである。DSM-Vは,原因を仮定しない客観的な診断基準を確立するという建前をもって,それまで米国で隆盛を極めていた精神分析学の影響を取り除こうとした。このことは,精神医学自体に善くも悪くも大きな影響を与えた。

◇今日では,神経症に推定されていた神経機能の障害が脳機能画像で明らかにされつつあり,遺伝学的基盤が解明されつつある。その症状がベンゾジアゼピンやSSRIで改善することが実証されたこととあわせて,精神医学の長足の進歩を感じさせる出来事で満ちている。

◇かつては心因性疾患の代表とされてきた神経症は,今や最も即物的なまなざしが注がれる対象へと姿を変えつつある。DSM-V制作者らの思惑を越えた事態に至ったのではなかろうか。診断名にかかわらず,心理次元の新たな研究の復権を望みたい。

目次


●特集

T.総論

 1.神経症圏障害の概念の歴史                          田代 信維

 2.神経症圏障害の診断─DSMの立場─                      横山 裕一・他

 3.神経症圏障害の診断─ICDの立場─                      畑田けい子・他

 4.神経症圏障害の疫学                             中根 秀之

 5.恐怖条件づけに関する神経科学の進歩─大脳局在論の新展開─          井上  猛・他

 6.神経症圏障害の今日的理解─分子遺伝学的研究の立場から─           岩田 仲生

 7.神経症圏障害の今日的理解─神経症圏障害の脳画像─              大久保善朗・他

 8.神経症圏障害の今日的理解─神経心理学の立場から─              太田 晴久・他

 9.今日の精神分析的な神経症理解                        牛島 定信

U.治療

 1.神経症圏障害の薬物療法の原則                        融  道男

 2.神経症圏障害の精神療法の原則                        宮川 香織・他

 3.精神分析の原則                               松尾信一郎

 4.神経症圏障害の森田療法の原則                        中村  敬

 5.神経症圏障害の集団療法の原則                        横山 太範

 6.神経症圏障害の内観療法の原則                        竹元 隆洋

 7.神経症圏障害の行動療法の原則                        飯倉 康郎

 8.神経症圏障害の認知療法の原則                        吉田 卓史・他

 9.神経症圏内障害の自律訓練法の原則                      佐藤  武

V.各論

 a.パニック障害

  1.概念・診断・心理社会的研究                        竹内 龍雄

  2.パニック障害の生物学的研究                        谷井 久志

  3.治療学                                  貝谷 久宣・他

 b.恐怖症性障害

  1.概念・診断・心理社会的研究                        忽滑谷和孝・他

  2.生物学的研究                               高橋 正洋・他

  3.治療学                                  宮岡  等・他

 c.全般性不安障害

  1.概念・診断・心理社会的研究                        越野 好文

  2.治療                                   加藤 隆弘・他

 d.社会(社交)不安障害

  1.概念・診断・心理社会的研究                        高橋  徹

  2.生物学的研究                               多田 幸司

  3.治療学                                  田島  治

 e.強迫性障害

  1.概念・診断・心理社会的研究                        多賀 千明

  2.強迫性障害の生物学─臨床理論と神経生物学理論の統合モデル─        中尾 智博

  3.治療学                                  住谷さつき・他

 f.外傷後ストレス障害

  1.概念・診断・心理社会的研究                        飛鳥井 望

  2.PTSDの神経生物学的基盤                          山末 英典・他

  3.治療の基本的戦略                             加藤  寛

 g.解離性(転換性)障害

  1.概念・診断・心理社会的研究                        朝枝 清子・他

  2.生物学的研究─解離・転換症状の神経基盤─ 西川  隆

  3.治療学                                  西松 能子・他

 h.身体表現性障害と心気症

  1.概念・診断・心理社会的研究                        山田 和男

  2.治療学                                  吉松 和哉

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