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最新号
 第33巻10号 特集/ヒトゲノム解読後の精神医学

定価(\) 2,835 送料(\) 150

編集後記 紹介

◇2003年4月にヒトゲノム解読終了の宣言がなされ,遺伝子全体の発現を解析するゲノミックス解析の時代に入った。mRNA発現パタンはトランスクリプトーム解析により,発現蛋白パタンはプロテオミックスにより網羅的解析がなされることとなり,精神神経疾患の研究は大きく変化していく。本号では,このようなポストゲノム時代の精神疾患研究について概説していただくことを企画した。ちょうど,文部科学省科学研究費「特定領域」の1つとして応用ゲノム研究がスタートしていることから,応用ゲノム研究班で取り上げられている統合失調症,感情障害,パニック障害,アルツハイマー病の担当者にそれぞれの領域での現状を概説していただいた。いずれも,有病率の高い重要な疾患であり,精神神経学研究の総力を結集して取り組むべき課題である。
◇罹患同胞対解析の項目を加えたのは,このような研究において最も有力な解析法と考えられるからである。罹患同胞対解析では,同じ疾患に罹患した同胞とその両親のゲノムを解析する。多因子遺伝による疾患の解析には最もすぐれた方法であるが,最大のネックはサンプル収集に大きな困難が伴うことである。同じ疾患に罹患した同胞(兄弟・姉妹)と両親からの採血を依頼することが必要であり,現実のサンプル収集には多大な苦労が伴うことが容易に予想される。しかしながら,精神神経疾患の解明には,罹患同胞対解析は必要な研究であり,多くの臨床家にその重要性を理解していただきたいと願っている。本企画の最後には「ゲノムと社会」というタイトルで遺伝研究の社会的な側面について解説していただいた。この企画が,精神神経疾患の遺伝研究の現状をお伝えするとともに,現在走っている応用ゲノム研究の完遂のための土台となるサンプル収集を促進するために,広く臨床家の理解と協力を得ることができればと思っている。

 

目次

●特集
  解読されたヒトゲノムの全貌                       服部 正平
  脳のトランスクリプトーム解析─統合失調症の分子病態の理解を求めて─   那波 宏之・他
  酸化修飾蛋白の精神神経疾患の病因への関与                丸山和佳子・他
  統合失調症疾患関連遺伝子の探索                     有波 忠雄
  感情障害疾患関連遺伝子の探索                      山田 和男・他
  パニック障害疾患関連遺伝子の探索                    谷井 久志・他
  アルツハイマー病疾患関連遺伝子の探索                  紙野 晃人・他
  精神疾患の罹患同胞対解析                        功刀  浩
  ゲノム研究と社会                            羽田  明

●研究報告
  脳卒中後うつ(Post Stroke Depression)のDSM-IVによる
   下位分類の試み:評者間信頼性の検討                  佐藤 晋爾・他
  臨床症状および脳形態に違いを示した
   一卵性双生児統合失調症一致例に関する考察               安川  玲・他
  睡眠時無呼吸症侯群に対するチーム医療の取り組み             土生川光成・他

●総説
  PTSDに対する認知行動療法の効果─最近の知見の吟味─           大江美佐里・他

●書評
  不安と葛藤─神経症性障害と身体表現性障害─               神庭 重信

●学会印象記
  第19回日本老年精神医学会                        一宮 洋介
  第29回日本睡眠学会定期学術集会                     向井 淳子・他

●シリーズ/精神医学用語解説
  284.小胞体ストレス                           垣内 千尋
  285.セルフ・アウェアネスの障害                     矢野 円郁・他

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