今後の特集のご案内

 2004年  8月号 周産期精神医学
      9月号 成年後見の現況ー施行5年目を迎えてー【特大号】
     10月号 周産期から乳幼児期の環境と精神発達
 

バックナンバーはこちら

最新号
 第33巻7号 特集/職場のメンタルヘルス

定価(\) 2,835 送料(\) 150

編集後記 紹介

◇過労死,自殺などに象徴される職場におけるストレス性障害は,現代社会が抱える重要な問題である。ストレス性障害を含む精神疾患による社会的損失にようやく目が向けられるようになり,今まで看過されてきた精神疾患による社会の損失についての議論がなされるようになったことは注目すべきである。
◇精神疾患は主観的な症状がその対象となることから,医学的にどこまでが健康な状態でどこからが疾患によるものかの判断が困難なことも多く,客観的な評価が十分ではなかった。多くの職場離脱の原因が個人の不十分な資質に帰せられて,精神疾患として対応されてこなかった嫌いがある。 PTSD(心的外傷後遺症)の社会的認知は,このような状況を大きく変化させた。重要なことは,十分に精神的に健康な資質を有する人でも過大な心的外傷を受ければ誰でもPTSDを発症しうるとの考えを定着させたことと,精神障害は時によると身体的障害と同等以上の障害であり,3年前の奈良での事件を嚆矢として,いまやPTSDは刑法に定める傷害罪を構成するとみなされるようになったことをあげたい。
◇PTSDほど重大ではないとしても,ストレスに起因する精神症状は職場においてよくみられるものである。出社拒否,うつ,職場の人間関係などいたるところに職場における精神症状が観察される。このような精神症状は,ストレスにより発症するものであり,心の病として正しく診断・治療することが必要であることはいうまでもない。このような流れを受けて,2003年10月にストレス性障害に対する労働災害の認定基準が改定された。これまでの労災認定基準では明白な器質的症状を示さない精神症状については,外傷性神経症が第14級として認定されていただけであったことを考えると,ようやくストレス性障害が労災においても認知され,ストレス性障害に対する正しい取り扱い方が定められたものと考えている。労働災害認定だけでなく,交通事故の賠償に関する取り扱いも,この新たな基準に従って認定されることになっており,精神症状の取り扱いが大きく変わったことをご理解いただきたい。このような流れは,職場におけるメンタルヘルス対策の重要性を指摘しているだけでなく,これからのメンタルヘルス活動の方向性を示唆するものであり,本特集に内容のある論文を寄せていた先生方に深く感謝したい。

 

目次

●特集
 職場のストレスとメンタルヘルス                        栗原 雅直
 職場のメンタルヘルス―ストレスドックの活用─                 夏目  誠・他
 企業におけるメンタルヘルスシステム(産業医に求められているもの)       塚本 浩二
 大学・研究所のメンタルヘルス                         松崎 一葉・他
 労災病院のメンタルヘルスプログラム                      山本 晴義
 メンタルヘルスの評価と尺度                          丸山 総一郎
 職場復帰と診断書をめぐって                          大西 守・他
 ストレス性障害と労災認定                           小西 博行

●研究報告
 Peters et al Delusion Inventory(PDI)日本語版の作成と信頼性・妥当性の検討  山崎 修道・他
 うつ病におけるlithium付加療法の効果                      松下 裕貴・他
 高用量olanzapine投与により症状が著明に改善した慢性統合失調症の1例       市村 麻衣・他
 摂食障害の心理特性に関する検討─病型による相違と健常女性との比較─      山口 利昌・他

●総説
 精神科臨床における下肢深部静脈血栓症                     原田 貴史・他

●学会印象記
 日本集団精神療法学会第21回大会                        浅田  護
 第11回多文化間精神医学会                           桂川 修一

●シリーズ/精神医学用語解説
 280.移行対象                                 水俣 健一
 281.躁的防衛                                 水俣 健一

バックナンバーはこちら